「タイにおける意匠制度の概要」

(1)  意匠法の概要

タイにおいて意匠制度は特許法にその規定があります。特許法56条から65条は、意匠についての特別法を規定しており、その他については特許における規定を準用しています。

同法は、「意匠とは、製品に特別な外観を与え,工業製品又は手工芸製品に対する型として役立つ線又は色の形態又は構成をいう」と定義しています(特許法3条)。また、意匠権の保護の客体について、「手工芸意匠を含む新しい工業意匠」(特許法56条)である旨を規定しています。

(2)  登録審査

意匠の出願は、省令に定められる要件および手続に従わなければならず、各意匠出願書類には、意匠の表示、意匠が用いられる製品の表示、明確かつ正確なクレーム、省令に定められるその他の事項が含まれなければなりません(特許法59条)。

その後、商務省知的財産部(DIP) において審査を受け、所定の要件を満たしたとされる意匠のみが特許法上の保護をうけることができます(特許法61条)。

⑶ 意匠権の内容

同法は、「特許権者以外の何人も、調査研究を目的とする意匠の使用を除き、製品の製造において特許 意匠を使用する権利又は特許意匠を具現した製品を販売し、販売のため所持し、販売のため供給し若しくは輸入する権利を有さない。」と規定し(特許法63条)、意匠権者に排他的権利を認めています。