「マレーシアにおける意匠制度の概要」

(1)  概要

マレーシアにおける意匠制度は、意匠法(Industrial Designs Act 1996)により規律されています。同法は、意匠を「工業的方法または手段により物品に適用される形状、輪郭、模様もしくは装飾の特徴であって、完成した物品において視覚に訴え、視覚によって判断されるもの」と定義しています(意匠法3条1項)。

(2)  登録審査

意匠登録手続は、以下の2段階で進められます。

(a) 方式要件審査

意匠登録出願が意匠法および意匠規則で定められた要件を満たしているかを審査します(意匠法21条1項)。出願が要件を満たしていない場合、出願人に対しその旨の通知がなされ、補正のための期間が与えられます(同条2項)。補正が行われない場合、聴聞の機会が付与された上で出願は拒絶されます(同条3項)。

(b) 新規性審査

意匠の登録を受けるためにはその意匠が登録日において新規の意匠でなければなりません(意匠法12条(1))。そして、出願しようとする意匠が、出願の優先日前に、出願意匠と同一または関係する取引において一般的に使用される、重要でない細部もしくは特徴においてのみ当該意匠と異なる意匠が、以下のいずれかに該当する場合、新規性は認められません(同条12条(2)(a)・(b))。

・     マレーシアのいずれかの場所で公に開示されていた場合

・     当該意匠が、異なる出願人によって先出願された意匠登録申請の対象となっており、かつその出願に基づいて登録が認められている場合。

(3)  意匠権の内容

意匠権者は、登録意匠が適用されている物品を、①製造、輸入、販売もしくはその申出、賃貸もしくはその申出、陳列することの排他的権利を有します。

そして、上記権利に対する侵害が現に存在するか、またはそのおそれがあることを証明することにより、損害賠償請求、利益返還請求、または差止命令請求を裁判所に対して求めることができます(意匠法34条1項)