(1) 概要
日本の意匠制度は意匠法によって規定されています。同法上、「意匠」とは、物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合、建築物の等又は画像であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの、と定義されています(意匠法2条1項)。
意匠権の存続期間は、出願日から25年間です(同法21条1項)。
また、日本はパリ条約に加盟しており、パリ条約締約国で申請してから6か月以内であれば、優先権を主張することもできます。
(2) 登録手続き
意匠権の登録手続きは特許庁に対し行います。
出願を行うと、まず、書類の形式面等を審査する方式審査が行われ、次に、出願にかかる意匠が意匠法上の登録要件を満たしているかを審査する実体審査が行われます。
実体審査において、意匠の登録を認めることのできない拒絶理由が発見されない場合には、特許庁の審査官は、意匠登録をすべき旨の査定をしなければなりません(意匠法18条)。他方、拒絶理由があると判断された場合、審査官は、拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければなりません(意匠法19条が準用する特許法50条)。拒絶理由が解消されない場合には、拒絶の査定がなされます(意匠法17条)。
(3) 意匠権侵害
意匠権侵害に対しては、民事上の救済策として、侵害行為の差止め(意匠法37条)や損害賠償請求等の措置をとることが可能です。損害賠償請求にあたっては、実際上、損害額の立証が困難な場合も多くあります。
そこで、意匠法では、損害額の算定規定や推定規定等を設け、立証の困難性を緩和することが試みられています(同法39条)。
また、意匠権侵害は刑事罰の対象ともなり得、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金又はその両方が科せられます(同法69条)。