(1) 2019年証券法に基づく法的規定
2019年証券法第12条第2項によると、インサイダー情報を使用して自己または他人のために証券を売買すること、インサイダー情報を開示または提供すること、インサイダー情報に基づいて他人に証券の売買を助言することが、厳格に禁止されています。
また、同法第4条第44項では、インサイダー情報とは、公開会社、上場組織、取引登録組織、公募ファンド、公募証券投資会社に関する情報のうち、公表されておらず、かつ公表された場合に当該組織の証券価格に重大な影響を及ぼす可能性のある情報を指すものと規定されています。
(2) 違反に対する制裁
① 行政責任
政令156/2020/ND-CP第5条第3項および第35条(政令128/2021/ND-CPにより改正)によれば、違法に得た利益額を基準に法人の場合は10倍の、個人の場合は5倍の行政罰金が科されますが、法人に対しては30億VND、個人に対しては15億VNDを超えないものとされています。違法に得た利益が存在しない場合、または算定された罰金額が、法人に対して30億VND、個人に対して15億VND未満である場合には、最大で法人に対して30億VND、個人に対して15億VNDの行政罰金が科されます。その後、違反当事者には、インサイダー取引により得た違法利益の返還という是正措置が適用されることがあります。
さらに、証券会社、ファンド運用会社、およびベトナムにおける外国証券会社またはファンド運用会社の支店に対しては、1か月から3か月の期間、証券業務またはサービスの停止処分が適用されます。
② 刑事責任
2015年刑法(2017年改正)第210条に基づく、証券取引におけるインサイダー情報の使用に対する刑事罰は以下のとおりです。
- 開示されていないインサイダー情報を使用して証券を取引する者、または当該情報を開示・提供する者、他人にその情報に基づいて取引を助言する者で、違法に3億VND以上10億VND未満の利益を得た場合、または投資家に5億VND以上15億VND未満の損失を与えた場合は、5億VND以上20億VND以下の罰金、または6か月以上3年以下の懲役に処されます。
- 加重事由がある場合:違反行為が以下のいずれかに該当する場合、20億VND以上50億VND以下の罰金、または2年以上7年以下の懲役に処されます。加重事由には、組織的に犯行を行った場合、違法利益が10億VND以上である場合、投資家の損害が15億VND以上である場合、再犯または危険な常習犯である場合が含まれます。
違反者には、5,000万VND以上2億VND以下の罰金や、1年から5年の間、一定の職務に就くことや特定の職業を行うことを禁止されるという付加的制裁を受ける場合もあります。
商業法人が当該違反行為を行った場合、(i) の違反に対しては、10億VND以上50億VND以下の罰金、(ii) の違反に対しては、50億VNDから100億VNDの罰金が科されます。さらに、特定の業種での事業活動または資金調達が。1年から3年の間、禁止される可能性があります。