「ベトナムにおける基本定款の必要的記載事項及びその変更方法」

(1) 概要

定款は、よく会社の「憲法」や「憲章」と呼ばれ、ベトナムの現行の企業法制下では、企業設立登録時に許認可当局に提出する初版と、企業運営中に作成される改定版を含みます。

企業の個人社員/株主や組織社員/株主は、以下の基本原則を満たすことを条件として、自らの定款を作成または改定することが認められています。

  • 法律の規定に反したり、第三者の権利や利益を侵害しないこと。
  • 自由意思と相互合意に基づき、法律の枠組みの中で行われること。
  • 法律で要求される主要な内容が全て含まれていること。
  • 企業設立登録の場合には全ての社員/株主の承認があり、定款の改定の場合には法定の比率の持分または株式による承認があること。

(2) 定款の主要な記載事項

ベトナムの現行「企業法」第24.2条の規定により、定款には以下の主要事項が記載されなければなりません。

  1. 企業の名称、本社、支店、駐在員事務所(該当する場合)の所在地。
  2. 企業の事業内容。
  3. 資本金の額、株式会社の場合は発行株式総数、株式の種類および各株式の額面金額。
  4. 合名会社における無限責任社員、有限責任会社の出資者または社員、株式会社の設立時株主の氏名、連絡先住所、国籍。有限責任会社または合名会社における各社員の出資比率および出資額、株式会社の設立時株主の保有株式数、株式の種類および各株式の額面金額。
  5. 有限責任会社または合名会社の社員の権利義務、株式会社の株主の権利義務。
  6. 組織構造。
  7. 企業の法定代表者の人数、役職、権利および義務。
  8. 企業の意思決定手続および社内紛争解決の原則。
  9. 役員および監査役の給与・賞与の決定基準および方法。
  10. 社員または株主が会社に対して出資持分(有限責任会社の場合)または株式(株式会社の場合)の買取請求ができる事由。
  11. 税引後利益の分配および事業損失処理の規則。
  12. 解散事由、解散および資産清算の手続。
  13. 定款の改定手続。

特に公開会社については、ベトナム財務省が作成・発行したモデル定款のひな型を参照することができます。モデル定款は現行の企業法に抵触しない内容となっています。

(3) 定款変更手続

定款を変更する場合、企業は現行の「企業法」および現行定款に基づき、社員/株主総会の招集および社員/株主による関連決議に関する規定(例えば、正当な社員/株主総会を開催するための社員/株主の比率に関する規定)を遵守しなければなりません。初版の定款とは異なり、変更後の定款については以下の者の署名のみが求められます。

  • 合名会社の場合:社員総会の議長。
  • 一人有限責任会社の場合:会社の所有者、所有者の法定代表者、または会社の法定代表者。
  • 複数社員の有限責任会社および株式会社の場合:会社の法定代表者。

さらに、定款は企業登録証明書の記載内容の一部とは見なされません。したがって、会社は定款の変更を許認可当局に届け出る必要はありません。