「マレーシアにおける基本定款の必要的記載事項及びその変更方法」

(1)  概要

株式会社においては、定款の作成は完全に任意とされています(会社法第31条⑴)。定款を作成しない場合には、会社・取締役・株主の権利義務を含む会社運営に関する事項については、会社法の規定に従うこととなります(会社法第31条⑶)。一方で、定款を作成することにより、これらの事項について会社法の規定と異なる定めを置き、独自の会社運営を行うことが可能となります(同第31条⑵)。

また、種類株式の発行など、定款に規定しなければ導入できない制度も存在します。定款により導入可能な独自ルールの例は、以下のとおりです。

① 種類株式の発行(会社法第90条⑴)

② 株券の発行(会社法第97条⑴)

③ 株主総会の決議要件の普通決議から特別決議への加重(会社法第291条⑷)

④ 株主総会の決議方法(会社法第293条⑴)

(2)  定款の導入・変更

定款を作成する場合、株主総会の特別決議を必要とします(会社法第32条⑴)。同様に、定款の変更も株主総会の特別決議によって行うことができますが、定款により変更が禁止されている場合には、変更することはできません(会社法第36条⑴)。

また、取締役または株主の申立てにより、裁判所が必要と認めたときは、裁判所が定款変更を命じることができます(会社法第37条⑴))。定款の導入または変更がなされた場合には、株主総会の決議または裁判所の命令があった日から30日以内に、会社登記所に対して通知を行う必要があります(会社法第32条⑷、第36条⑶、第37条⑵)。