「従業員が不正を行った場合の法的対応について(バングラデシュ)」

バングラデシュでは、懲戒事由、懲戒処分の種類及び懲戒手続に関して、労働法、EPZ労働法が定めています。

 労働法の懲戒手続の場合、会社は、不正行為の容疑を文書で記録し、従業員に対して当該通知書(文書の写し)を交付し、従業員に7日以上の釈明の期間と聴聞の機会を与える必要があります。

 その後、使用者側及び従業員側の同数の代表者で構成される審査委員会にて不正行為の有無の審査を行います。審査は60日以内に行う必要があります。そこで不正行為が認められた場合は、会社は懲戒をし実施することができます。(労働法24条)

 そのため、不正発覚時には、従業員に対して不正行為の容疑を通知できるよう、不正行為の事実を、日時、場所、具体的な行動で特定する必要があります。

 不正行為を裏付ける証拠を確保することは言うまでもありませんが、懲戒手続きが労働法の要件を満たしていると担保する証拠も確保する必要があります。不正行為の内容が認められたとしても、手続きに問題があると懲戒処分が無効になるおそれがあるからです。そのため、文書を交付した際には従業員の署名した受領書を受け取る、聴聞の機会には録音をとる、審査委員会の構成員及び会議内容の記録を残すなど、慎重に進めていく必要があります。