(1) 不正行為の調査
従業員による不正が発覚した場合、まずは、当該不正行為の調査が行い、不正の証拠を可能な限り収集を
することが重要です。
調査を行うことで不正の実態を把握することができ、不正を働いた従業員に対する今後の対応を適切に選択するための判断材料を得ることができます。また、再発防止等の観点からも、事実関係を可能な限り正確に把握しておくことが、実態を踏まえた予防策を検討することにもつながります。
(2) 不正行為を働いた従業員への対応
不正行為を働いた従業員への対応については、調査に基づいて得られた証拠及び事実関係に基づき、個別具体的に判断していくことになります。
一般的には、社内の規則に基づく懲戒処分が検討されるほか、事案によっては、民事訴訟を通じた損害賠償請求や刑事告訴といった対応も考えられます。
なお、懲戒処分の最たるものとして、懲戒解雇がありますが、100人以上の労働者(workman)を雇用する産業施設(工場等)の場合、産業雇用(就業規則)法(Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946)が適用され、①書面による不正行為の通知、②弁明の機会の付与、③社内調査の実施と結果の通知、が求められます。また、同法の適用対象とならない場合であっても、判例・実務上、懲戒解雇は、これに準じた手続きを踏むべきであるとされています。
懲戒解雇は法令上厳格な手続きが要求され、また、解雇の正当性を巡って従業員との間で紛争となるリスクも考えられます。そのため、可能な限り、懲戒解雇ではなく、合意退職等を促すことが望ましいです。