(1) インドにおけるEPFの概要
インドには、従業員積立基金(EPF:Employee’s Provident Funds)と呼ばれる社会保障制度があります。
20名以上を雇用する組織、及び、当該組織の中で月給15,000ルピー以下の従業員については、それぞれEPFへの加入が必須です(Employees’ Provident Funds Act, 1952(以下「EPF法」といいます)1条(3)、Employees’ Provident Funds Scheme,1952(以下、「EPFスキーム」といいます)2条(f))。
なお、加入義務のない組織及び従業員であっても任意加入が可能です(EPF法1条(4))。
積立金の払戻しについては、58歳に達した場合や職務に復帰できない程度の障害を有した場合等に、申請をすることができます。
(2) 外国人とEPF
外国人については、全ての者にEPFへの加入義務が原則としてあります(EPFスキーム26条)。
もっとも、インドとの間で社会保障協定を締結している国の者については、インド赴任後も母国の社会保障制度に引き続き加入している場合、当該社会保障協定の枠内でEPFへの加入義務が免除されます(EPFスキーム83条)。
この点、日本はインドとの間で日印社会保障協定(India–Japan Social Security Agreement 2016)を締結しており、最大60か月(5年間)にわたりEPFへの加入義務が免除されます。免除を受けるためには、日本年金機構から「適用証明書」の発行を受ける必要があります。
なお、予見できない事情により5年を超えて派遣期間が延長される場合については、申請に基づき、両国で個別に判断の上合意した上で3年まではEPFの加入が引き続き免除されます。