日本に住む20歳以上60歳未満の者は全て、国籍を問わず、日本の公的年金制度に加入しなければなり
ません。
公的年金制度には主に、国民年金と厚生年金保険の二つがあり、国民年金は、日本に住む20歳以上60
歳未満での全ての者が加入する年金であり、厚生年金は、会社員や公務員等が国民年金に上乗せして加入
する年金となっています。
もっとも、日本に住む外国人にとっては、日本の年金制度に加入すると、自身の母国における年金などの
社会保障と合わせて二重の負担になる可能性があります。
そこで、日本は、韓国、中国、フィリピン、インド等23か国との間で、社会保障協定を締結しています。
社会保障協定では、①二重負担を防止するために二国間で調整を行う制度、②年金受給資格を確保する
ために、両国の年金制度への加入期間を通算する制度が設けられます。ただし、韓国、中国等、一部の国と
の協定については、①二重負担防止のみが定められており、②加入期間の通算が定められていない、といっ
たパターンもあるので注意が必要です。
また、外国人が本国に帰国する際には、脱退一時金という制度もあります。
外国人が、国民年金または厚生年金の被保険者資格を失って、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金と呼ばれる一定の額を請求することができます。
ただし、脱退一時金を受け取った場合、脱退一時金の計算の基礎となった期間は年金の加入期間ではなくなり、当該期間を通算することができなくなり、日本や本国で年金を受給できなくなる可能性も生じ得ますの
で、脱退一時金の請求をするか否かは慎重に判断するべきです。