「インドネシアにおける製造物責任に関する法制度の概要について」

(1) 製造物責任の枠組み

 インドネシアでの製造物責任は、消費者保護に関する法律1999年第8号(以下「消費者保護法」といいます)によって規定されています。

消費者保護法において、事業者が製造または販売した商品や提供したサービスによって、消費者に対する損害が生じた場合、事業者はその損害を賠償する責任を負います(消費者保護法第19条)。

(2) 責任主体

責任主体は、商品・サービスの製造・販売をする事業者、商品・サービスの輸入者です。ただし、損害が消費者の過失による場合には、免責されますが、事業者が消費者の過失を立証する必要があります(消費者保護法第22条)。

責任主体のうち、他の事業者に販売する者は、①販売先の他の事業者がいかなる変更を加えることもなく、商品および/またはサービスを消費者に販売した場合や、②販売先の他の事業者が、販売者により改編が加えられたことを知らずに、見本と不一致があることや、品質・成分に不一致があるような契約に適合しない、相当でない商品、サービスを消費者に提供し、損害が発生した場合にも、責任を負います(消費者保護法第24条)。

一方、製造事業者は、①商品の流通が意図されていなかった場合、②製品の欠陥が製造事業者の管理を離れた後、新たに生じた場合、③欠陥が品質基準に関する法令を遵守した結果である場合、④商品の購入から4年または、事業者と消費者で合意した期間を経過した場合には、免責されます(消費者保護法第27条)。

(3) 消費者救済

 消費者は、受領した商品またはサービスが契約に適合しない、または相当でない場合に、修理、交換または返品、商品価格の返還、もしくは当該商品と同等の品質の商品との代替を請求できます。(消費者保護法第4、7条)。 また、損害が生じた場合には、取引日から7日以内に販売者による返金、交換等の対応が必要となり、本規定に応じない場合、消費者は、地方判所および消費者紛争解決機関(BPSK)に提訴できます(消費者保護法第19、45条)。