(1) 労働者派遣法
日本における派遣労働(労働者派遣)は労働者派遣法によって規律されています。
同法上、「労働者派遣」とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいいます(労働者派遣法2条1号)。
そのため、派遣労働者の雇用主は派遣元となりますが、派遣労働者の指揮命令については派遣先の指揮命令に服す形となります。
なお、労働者派遣業を行うためには、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません(労働者派遣法5条)。
また、港湾運送業務、建設業務、警備業といった一定の業務については、労働者派遣業を行うことが禁止されています(労働者派遣法4条1項)。
(2) 派遣元と派遣先の責任
派遣労働者の雇用主は派遣元であり、雇用主としての責任は原則として派遣元が負い、就業規則も派遣元のものが適用されます。そのため、派遣元は、賃金の支払いや有給休暇の付与等、雇用主としての基本的な責任を負います。
他方で、派遣先も、派遣労働者を指揮命令して労働させる立場として一定の責任を負っており、労働時間、休憩、休日、時間外及び休日労働に関して労働基準法に遵守する責任があります(労働者派遣法44条2項)。
なお、妊娠・出産等や育児休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱いの禁止や職場におけるハラスメントを防止するための雇用管理上の措置等については派遣元と派遣先がともに責任を負います(労働者派遣法47条の2、47条の3、47条の4)。
(3) 派遣労働者の雇用安定措置
派遣元は、期間を定めて雇用される派遣労働者であって、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して1年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるもの等に対し、以下の措置を講ずるように努めなければならない努力義務があります。また、3年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるもの等については、以下の措置を必ず講じなければなりません(労働者派遣法30条1項)。
①派遣先に対し、当該派遣労働者の直接雇用の依頼をすること
②新たな派遣先(当該派遣労働者等の能力、経験等に照らして合理的なものに限る)への就業の機会を確保し提供すること
③派遣下での無期雇用の機会を確保し提供すること
④その他の雇用の安定を図るために必要な措置
なお、①を講じた場合に、直接雇用されなかったときは、②から④までのいずれかを講ずるものとされています(省令25条の2第2項)。






