(1) 責任の範囲
バングラデシュでは、取締役は会社に対して受託義務(Fiduciary duty)、すなわち、誠実かつ会社の最善の利益のために行動する義務を負うと理解され、そして本義務に違反する場合、会社は民事上の責任追及ができます。
バングラデシュは英米法体系でコモン・ローであり、同様の法体系を有して影響の強い英国やインドでは、会社法において本義務の定義があります(2006年英国会社法 171条乃至177条、2003年インド会社法166条)。しかし、バングラデシュ会社法では、このような定義がありません。
(2) 会社法上の責任
会社法では、個別の制限について規定があります。
①売買・商品供給契約等の締結 (105条)
取締役の承認を得た場合を除き、取締役は自らまたは自らがパートナー、株主または取締役である他の法人との間で、売買、商品および原材料の購入または供給契約を締結することはできません。
② 利益相反取引に関する情報開示(130条、131条)
会社が締結する契約に直接的または間接的に利害関係がある取締役は、当該契約が承認される際に、取締役会にて、その利害について開示しなければいけません。ただし、取締役が他の特定会社の取締役または構成員であり、当該他の特定の会社との間で継続的に複数の取引が予定されている場合には、包括的な利害関係の開示を行った後は、個別の取引についての利害関係の開示は必要ありません。本義務違反の場合、取締役は5,000 タカ以下の罰金が科せられます。
公開会社または公開会社の子会社である非公開会社の場合、取締役は、自身が直接または間接に利害関係を有する契約の承認については議決権を行使することはできず、定足数にも算入されません。本規定に違反した取締役は、1,000タカ以下の罰金が科せられます。
(3) 会社法以外の責任
取締役の各行為によっては、刑法にて、背信・信託違反(405条、406条)、詐欺(415条)、偽造(463条など)に問われることがあります。
また、税法や金融関連法などでも取締役の義務が定義されています。
(4) 責任の追及方法
会社や株主が行う取締役の責任追及方法については、特別な規定はなく、一般的な訴訟手続きにて行うことになります。






