アラブ首長国連邦(ドバイ)のトピック、最新の法令等の紹介

(1) 地域情勢
2026年2月28日、アメリカ合衆国とイスラエルは「Epic Fury(壮絶な怒り)」作戦と称するイラン・イスラム共和国に対する軍事攻撃を開始し、これに対抗する形でイスラエルだけでなく、ドバイを含む湾岸各国の米国関連施設に対して反撃が行われるとともに、(本稿執筆時点で)ペルシャ湾とインド洋を結ぶホルムズ海峡がイランによって事実上封鎖される事態が継続しています。
中東地域では、2023年10月7日のハマスによる越境攻撃後、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区だけでなく、レバノン、シリアにおいて軍事作戦を展開し、2025年6月にはイラン核関連施設等への爆撃がありましたが、その中でも湾岸地域は安定な状況を保っていました。しかし、今回の軍事行動を受けて日本外務省は、3月5日にアラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア王国(リヤド州及び東部州)、クウェート、バハレーン、オマーンの湾岸6か国について危険レベルを3(渡航中止勧告)に引き上げ、3月23日には中東以外の地域を含めた全世界を対象として、中東情勢の緊迫化に伴う注意喚起を発出しています。
アラブ首長国連邦(UAE)では、緊急避難として出入国困難者への対策が取られています。連邦身分事項・市民権・関税及び港湾安全局(Federal Authority For Identity, Citizenship, Customs &Port Security)は、3月2日に、2月28日以降に滞在ビザ期限中の出国が困難となった外国人に対して超過滞在罰金を免除する旨を発表しました。2月28日以降に有効期間が切れた国外滞在中の居住ビザ保有者に対しては、3月31日までは、罰金を科されることなく、新たな許可を得ずに入国を許可すること、このようにして帰国する従業員の円滑なビザ更新手続のため事前の電子申請を行うよう雇用主に対して勧告したとの報道があります。

(2) 対応・予防
外国への出張や現地駐在をする場合、自然災害だけでなく、人為的な騒乱に直面することは少なくありません。このような事態に遭遇したときには、外務省の海外安全情報をはじめとした情報の収集に努め、必要に応じて現地の日本大使館・領事館に支援を求めることが大切です。そして、事前の備えとして、日頃から地域情勢に関心を払い、自らの安全を確保するため「たびレジ」への登録、在留届の提出に加え、勤務先・知人等へ連絡先の伝達が勧められています。
ビジネスの面からは、中東地域に留まらない広範な影響と、その長期化が危ぶまれています。海上保険の適用停止・保険料の引き上げ、船舶運航の停止や航路変更、航空貨物輸送の遅延等によるサプライチェーンの乱れにより、価格変動や供給障害が生じたことを教訓として、短期的な対策に留まらず、海外取引を取り巻くリスク要因の分析・再評価を行うとともに、現契約の不可抗力条項で予想される危険を回避できるかを改めて見直すことが重要となっています。