(1) インドにおける海外からの借入規制について
インド法人が海外の銀行や企業などから借入を受けることは、「対外商業借入」(External Commercial Borrowing。以下「ECB」といいます。)と呼ばれます。ECBを実施するにあたっては、1999年外国為替管理法(Foreign Exchange Management Act, 1999)及びこれに基づき定められた外国為替(借入・貸付)管理規則(Foreign Exchange Management (Borrowing and Lending) Regulations, 2018)に従う必要があります。
ECBには、「外貨建て」と「ルピー建て」の二つの枠組みがあり、借入人の資格、貸付人の資格、借入期間、金利等に関する要件が定められています。
借入が、所定の要件を満たす場合(下記表参照)には、自動承認となり、口座を管理する銀行の審査のみで借入が可能です。他方で、借入が所定の要件を満たさない場合には、事前にインド準備銀行の承認を得なければなりません。
この点、2026年2月に、外国為替(借入・貸付)管理規則が改正され、要件が大きく緩和されました。
同改正によってECBの利便性が大きく向上することが期待されます。
(2) ECB規制の要件について
改正前
改正後
借入人
外国直接投資(Foreign Direct Investment:FDI)を受け入れることができる事業体
個人を除くインドに居住する全ての者で、連邦法又は州法に基づき設立又は登録された者
*借入人の要件が緩和された。
貸付人
インド国外の親会社などの法人や銀行等。
ただし、
金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)または
証券監督者国際機構(International Organisation of Securities Commission’s:IOSCO)
加盟国の居住者である必要がある。
*日本はいずれにも加盟している。
・インド国外の居住者
・インド準備銀行(RBI)によって規制されている貸付期間の海外支店
・インドの国際金融サービスセンター(International Financial Services Centre)に設置された金融機関又は金融機関の支店
*貸付人の範囲が拡大された
最低平均償却期間
原則3年。
*資金使途によって、1年、5年、7年、10年等の例外あり
原則3年で統一。
*ただし、製造業における1会計年度当たり1億5000万米ドルまでのECBの場合には1年~3年
最低平均償却期間とは、所定の計算式に基づいて、借入の総額や部分弁済の金額・期間等をもとに算出される期間をいう。
上限金利
【外貨建てECB】
・新規のECBの場合:ベンチマークレート+
500ベーシスポイント
・既存のECBの場合:ベンチマークレート+
550ベーシスポイント
【ルピー建てECB】
・ベンチマークレート+450ベーシスポイント
市場金利による
*市場金利に従って柔軟に金利を設定できるようになった。
*ベンチマークレートとは、外貨建てECBの場合、借入通貨に適用されるインターバンク・レートまたは6か月間の代替参照レートを指す。ルピー建てECBの場合、対応する期間の国債の金利を指す。
*ベーシスポイントとは、金利の表示単位で、1ベーシスポイント=0.01%を意味する。
資金使途
資金利用できない使途としては以下のものが含まれる。
1.不動産取引(商業用若しくは住宅用の不動産又は土地の売買又は賃貸を目的として自己の所有不動産又は賃貸不動産に関して行われるあらゆる活動)
2.資本市場への投資
3.運転資金(外国株主からの借入れの場合等は除く)
4.一般的な事業資金(外国株主からの借入れの場合等は除く)
等
資金利用できない使途としては以下のものが含まれる。
- 不動産事業(土地又は不動産を売買又は賃貸しそこから利益を得る活動)
- 農業・畜産
- 譲渡可能な開発権の取引
- 上場・非上場の有価証券の取引
等
*運転資金目的、事業資金目的の原則禁止が削除される等要件が緩和された。






