バングラデシュのトピック、最新の法令等の紹介

⑴ 2026年バングラデシュ証券取引委員会(企業再編)規則草案の概要
 2026年5月23日、バングラデシュ証券取引委員会(以下、「BSEC」という)は、上場会社が関与する企業再編を規律する「2026年バングラデシュ証券取引委員会(企業再編)規則草案(the draft corporate restructuring rules, 2026)(以下、「本規則案」という)」を公表しました。本規則案は、これまで1994年会社法の一般規定に委ねられていた上場会社の合併・分割・買収等の手続に対し、BSECが証券規制の観点から正面から関与する枠組みを新たに構築するものであり、バングラデシュの資本市場規制において重要な転換点となります。
なお、本規則案は草案段階であり、意見公募期間を経て修正される可能性がある点に留意が必要です。

⑵ BSECによる事前審査権限の明確化
 本規則案の最大の特徴は、BSECによる事前審査権限の明確化です。上場会社は取締役会による組織再編の草案計画の承認から30日以内にBSECおよび証券取引所へ提出義務を負います(本規則案3条⑴)。証券取引所はこれを審査し、一定期間内に意見を発出します(同規則案6条⑵)。その後、BSECが草案計画及び証券取引所の意見を審査し、一定期間内に意見を発出します(同条⑶)。この意見は草案計画に反映させることが求められています(本規則案3条⑶)。また、BSECは裁判所手続への当事者参加権限を明示的に与えられています(同条⑹)。

⑶ 評価方法の統一・厳格化
 株式の評価方法について、絶対評価・相対評価それぞれ2手法以上の併用が義務付けられるとともに(本規則案附則B⑴、⑵)、割引率は10年物国債利回り以上、ターミナル成長率は長期GDP成長率以下とする数値基準が設定されました(本規則案附則B⑸)。さらに、評価人は当該会社の法定監査人・企業顧問を兼ねることができず(同規則案5条⑴)、市場価格のみを根拠とした評価も禁止されています(同条⑷(d))。

⑷ 少数株主保護の制度化および禁止行為の明文化
 少数株主保護の観点から、企業再編計画はスポンサー・取締役・5%以上の株式保有者を除いた一般株主の75%以上の賛成による特別決議が承認要件とされています(本規則案附則A第20項)。加えて、バックドア上場、評価の人工的引き上げ、市場価格操作、一般株主への負債の不公正な移転、証券法の潜脱・回避等を目的とした再編は明示的に禁止されています(本規則案4条⑷)。