マレーシアのトピック、最新の法令等の紹介

⑴ 1:3インターンシップポリシーの概要

 2026年1月15日、マレーシア人的資源省(KESUMA)は、「1:3インターンシップポリシー(1:3 Internship Policy)」を公表しました。これは、雇用許可(Employment Pass、以下「EP」といいます)保持者1人につき最大3人の学生インターンを有給で受け入れることをEP承認企業に義務付けるものです。本ポリシーは2026年6月1日より正式に導入されています。

 同省傘下の人材開発公社タレントコープ(TalentCorp、以下「タレントコープ」といいます)は、本ポリシーの概要を説明するウェブサイト(The Progressive Policy on Expatriate Contribution to Local Talent Development)およびFAQsなどを公表しています。

⑵ 導入の背景

 マレーシアでは、年間25万~28万人の学生が卒業要件の一環としてインターンシップへの参加を求められています。本ポリシーの導入は、学生のスキルと産業界のニーズとの間のギャップを埋め、学生の効果的な職業訓練の機会を確保することを目的としています(FAQs第2問)。

⑶ インターン受け入れ比率

 EPのカテゴリに応じて、以下の割合によるインターンシップ枠の提供が義務付けられます(FAQs第21問)。

カテゴリI(EPI)  :EP 1件につきインターン 3名

カテゴリII(EPII) :EP 1件につきインターン 2名

カテゴリIII(EPIII):EP 1件につきインターン 1名

 なお、本ポリシーの試験導入段階では、EP比率計算で算出された受け入れインターン数は総従業員数の2%を上限とする措置が自動適用されていましたが、2026年6月1日以降、同措置は自動適用される標準方式ではなくなりました(FAQs第22問)。同措置の利用を希望する企業はMyNextプラットフォームを通じて申請(Appeal)し、事務局の審査・承認を受ける必要があります(FAQs第23問)。

⑷ 対象企業

 本ポリシーの適用対象となるのは、以下のいずれかの機関を通じてEPの承認を受けた企業です(FAQs第8問)。

・MYXpats(Malaysia Expatriate Services Centre)

・MDEC(Malaysia Digital Economy Corporation)

・MIDA(Malaysian Investment Development Authority)

・IRDA(Iskandar Regional Development Authority)

 本ポリシーはEP カテゴリI・II・IIIのすべてに適用されます(FAQs第10問)。対象企業は、タレントコープから参加に関する公式通知を受領した後、30日以内にMyNextプラットフォームへの登録およびインターンシップ担当者(PIC)の選任を完了する必要があります(FAQs第8問)。

 ただし、以下に該当する企業は適用除外の申請が可能です(FAQs第11問、第12問)。

・マレーシアでの操業開始から 2年未満の新設企業

・駐在員事務所・地域統括事務所(RERO)に該当する企業

・政府より税制免除を受けている企業(Pioneer StatusおよびITA:最初の5年間、Malaysia Digital:最初の2年間)

⑸ 対象学生および受け入れ要件

  受け入れ対象となる学生は、公私立高等教育機関およびTVET機関に在籍し、学士・ディプロマ・修了証(Certificate)レベルの課程において産業研修(Industrial Training)を必要とするマレーシア国内の学生です(FAQs第5問)。

インターンシップの受け入れに際しては、以下の要件を充足する必要があります(FAQs第14問、第17問、第19問)。

期間:最低10週間以上

報酬:月額最低RM500またはRM600(学業レベルによる)

形式:体系的・品質保証されたプログラムであること

承認:タレントコープによるMySIP(National Structured Internship Programme)フレームワーク下での正式認定されていること

配置分野:部門・職種を問わずインターン生の配置可能。外国人就労者への直属報告は不要。

法定拠出金:EPF・SOCSOその他の法的拠出金は、インターン生への義務的適用なし

 なお、受け入れ企業は、MySIP に基づく二重税控除(Double Tax Deduction)インセンティブを受けることができ(FAQs第17問)、HRD Corp の産業研修制度(Industry Training Scheme)との併用請求も可能となっています(レヴィ残高が50%以上の場合に限られます)(FAQs第18問)。

⑹ 違反に対する取り扱い  現時点において、本ポリシー違反に対する独立した行政罰則規定は明示されていません。ただし、本ポリシー不遵守の事実は将来のEP承認審査において相当の比重をもって考慮されることが明記されています(FAQs 第30問)。事実上、継続的なEP取得を必要とする企業にとっては、将来の外国人採用に直接影響するリスクとなり得ることに留意が必要です。