インドネシアのトピック、最新の法令等の紹介

1.定款変更や会社設立、解散などの手続きに関して

インドネシア法務人権大臣令2025年第49号(以後、「新規則」といいます)が施行されており、定款変更や会社設立、解散などの手続きが規定されました。

新規則では、定款や会社データ修正時の行政審査が加わり、従来と比べ審査プロセスの長期化が予想されるため、余裕を持ったスケジュール管理が必要となります。

また、年次報告義務や実質的支配者(Beneficial Owner)に関する報告義務に関する規定がより厳格化され、より一層コンプライアンス体制の整備が求められます。

2. 年次報告義務

会社法2007年第40号(以下、「会社法」といいます)において、取締役は、監査役会の審査後、会社の事業年度終了から最長6か月以内に、年次報告書を株主総会に提出しなければなりません(会社法第66条)。本手続きに加え、新規則では、年次報告書に対する株主総会の承認を公正証書に記載する必要があり、公証人を通じて取締役が公正証書の署名日から最長30日以内に法務人権大臣へ提出しなければなりません(新規則第16条)。

3. 罰則

有限責任株式会社が年次報告の提出義務を怠った場合、または提出期限を徒過した場合には、行政制裁として書面による警告(SABHのシステム上、または電子メール)が付されます。当該通知を受領したにもかかわらず、受領日から30日以内に義務が履行されない場合、当該会社はSABHへのアクセスが停止され、登記変更や役員変更等の各種会社手続を行うことができなくなります(新規則第18条)。

 アクセス停止の制裁を受けた場合、アクセス停止解除の申請を行えば再度アクセスが可能です。停止解除の申請には、オンライン上での所定フォームの入力と、年次報告書のアップロードが必要です(新規則第19条)。

4. 実質的支配者(Beneficial Owner)報告義務

実質的支配者(Beneficial Owner)の報告義務に関しては、新規則の制定以前にも、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策の一環として、規定されていましたが(マネーロンダリング罪およびテロ資金供与罪の予防と撲滅の枠組みにおける法人の実質的支配者認知原則の適用に関する大統領令2018年第13号〈以下、「大統領令2018年第13号」といいます〉第3条)、具体的な報告手続きや運用について整備が不十分でした。

新規則では、当該報告の手続きについてより具体的に規定され、会社設立時、実質的支配者の変更時に関連する書類として、a)取締役から公証人への実質的支配者についての情報提出に関する委任状、b) 実質的支配者の氏名を記載した取締役の宣誓書、c) 実質的支配者本人の同意書の提出が必要となりました(新規則第6条)。

会社における実質的支配者の定義は大統領令2018年第13号第4条に記載されており、定款に基づき25%を超える株式を保有する者や、25%を超える議決権を有する者、取締役または監査役の任命、交代または解任の権限を有する者などが該当します。

実質的支配者に関する報告義務については、年次報告義務のような明確な行政制裁が詳細に規定されているわけではありません。しかし、当該義務を怠った場合には、会社設立や各種届出、ライセンス関係等の行政手続きが進まなくなる可能性があり、形式的な義務にとどまらず、実務上の前提条件として機能している点に留意が必要です。会社設立を検討している場合または実質的支配者に変更がある場合には、当該手続きへの適切な対応が求められます。