マレーシアのトピック、最新の法令等の紹介

⑴ 2026年政府調達法(Government Procurement Act 2026)の概要

 2026年5月26日、2026年政府調達法(Government Procurement Act 2026。以下「GPA」という)が公布されました。従来、政府調達は主として財務省が発出する指示、通達および規則によって規律されていましたが、GPAの制定により政府調達に関する包括的な法的枠組みが整備されることになりました。

⑵ 政府調達の定義

 政府調達(Government procurement)とは、連邦政府もしくは州政府の資金配分によって全部もしくは一部が賄われる、または連邦政府もしくは州政府が所有する資産を使用した、物品・サービスの供給または工事のための調達と定義されています(GPA5条⑴)。

⑶ 適用範囲

 GPAは、政府調達を管理・実施する者および参加する者の双方に適用されます(GPA2条⑴)。ただし、国際機関・外国機関の融資条件に従う調達は適用除外とされています(GPA3条)。

⑷ 政府調達手続きのアウトライン

 政府調達手続きは以下の段階を経て進められます。

 ① 調達を実施する調達主体(procuring entity)の特定

 ② 供給業者(supplier)または請負業者(contractor)による登録官(Registrar)への事前登 

   録(GPA17条~19条)

 ③ 調達方式の決定(GPA28条~31条)

 ④ 利益相反の開示(GPA37条) 

 ⑤ 承認権限者による承認(GPA10条~13条)

 ⑥ 契約の締結(GPA33条)

⑸ 登録制度

 政府調達への参加には、登録が必須とされています(GPA17条)。登録官は申請者が適格かつ適切な者であること等を確認のうえ登録証明書を発行します(GPA18条⑷)。

 なお、登録拒否事由として、申請者がマレーシア国内外の汚職関連犯罪による有罪判決を受けている場合、競争法違反の認定をされている場合、破産または清算手続き中である場合等があげられています(GPA19条)。

⑹ 公正性確保措置

① 利益相反の開示義務

 政府調達に関与する者に対し、直接および間接の実質的所有権にかかる利害関係ならびに利益相反を生じさせる可能性のある関係を含む利害関係の開示が義務付けられています(GPA37条⑴)。この開示義務に違反した場合は、25万リンギット以下の罰金もしくは5年以下の禁錮またはその両方が科せられます(GPA37条⑸)。

② 調達プロセスへの介入禁止

 調達手続きの進行中に、直接もしくは間接に、脅迫、不当な影響力若しくはその他の方法により、調達への介入しまたは干渉することは禁止されています(GPA38条⑴)。違反した場合は50万リンギット以下の罰金若しくは5年以下の禁錮またはその両方が科せられます(GPA38条2項)。

⑺ 不服申立・紛争解決制度

 GPAは三段階の救済制度を導入しました。

 第一に、政府調達に不服のある者は、調達機関に対して異議を申し立てることができます(GPA61条⑴、⑵)。第二に、調達機関の決定に不服がある場合には審査委員会による審査を求めることができます(GPA61条⑶)。第三に、審査委員会の決定に不服がある場合は、政府調達審査審判所(Appeal Tribunal)に審査請求することができます。この場合、審査委員会の決定から14日以内に申立てを行う必要があります(GPA68条⑵)。