(1) メキシコ産業財産庁の特許協力条約の国際調査機関および予備審査機関への指定
2026年7月、世界知的所有権機関(以下、「WIPO」という)の特許協力条約(以下、「PCT」という)同盟総会は、メキシコ産業財産庁(以下、「IMPI」という)を、PCTに基づく国際調査機関(以下、「ISA」という)および国際予備審査機関(以下、「IPEA」という)に指定することを承認しました。IMPIが実際に業務を開始した場合、ISA・IPEAとして世界で26番目、中南米地域では、ブラジル、チリに次ぐ3番目の機関となります。IMPIは、2025年12月にISAおよびIPEAとしての指定を申請しました。これを受け、2026年2月に開催されたPCT技術協力委員会は、IMPIの指定を全会一致でPCT同盟総会に勧告していました。
PCT国際出願では、ISAが、出願された発明に関連する先行技術を調査し、国際調査報告および新規性、進歩性、産業上の利用可能性等に関する見解を作成します。また、出願人が国際予備審査を請求した場合には、IPEAが国際予備審査を行います。これらの調査・審査結果は、出願人が各国・地域において国内段階へ移行するかを判断するための資料となりますが、各国・地域の特許庁はその結論に拘束されず、特許の付与または拒絶は、各国・地域の法令に基づいて判断されます。
承認された協定案によると、IMPIは、中南米・カリブ地域のPCT締約国の受理官庁がIMPIを管轄ISAとして指定し、国際出願または国際調査用の翻訳文がスペイン語である場合に、国際調査を行います。複数のISAが利用可能な場合には、出願人がIMPIを選択します。IPEAについては、同様の条件のもと、IMPIが国際調査報告を作成した国際出願について、国際予備審査を行うことが予定されています。
(2) 特許協力条約に基づく国際出願・国内段階移行の動向
WIPOは2026年6月、「PCT Yearly Review 2026」を公表しました。同報告書は、PCT制度を通じた特許出願の動向を分析する年次報告書です。なお、国際段階の出願件数は2025年の推計値、国内段階移行件数は2024年のデータであり、対象年および集計基準が異なるため、両者を一連の手続における連続した件数として直接比較することはできません。
受理官庁別の集計では、IMPIに提出されたPCT国際出願は、2024年の94件から2025年には121件となり、28.7%増加しました。一方、出願人の居住国を基準とする集計では、メキシコ居住者によるPCT国際出願は、2024年の154件から2025年には180件となり、16.9%増加しました。中南米地域における割合は14.3%で、ブラジルの619件およびチリの202件に次ぐ件数となっています。 国内段階については、2024年にIMPIへ移行したPCT出願が12,325件で、前年の12,567件から1.9%減少しました。IMPIは、国内段階移行件数の多い上位20官庁のうち10位でした。また、2024年にIMPIに対して行われた非居住者による特許出願のうち、PCT国内段階移行によるものの割合は81.9%でした。






