アラブ首長国連邦では、旧民法(1985年連邦法第5号)を改正した新民法(2025年連邦令第25号)が2026年6月1日に施行されました。
新民法は、別段の規定がない限り、遡及的に適用されません(第4条1項)。その他の新旧法の適用に関する規定に変更はありません(第4条2項から第9条)。
法源と抵触法に関する改正点は次の通りです。
(1) 法源
旧民法と同様に、明確な規定についてイジュティハード(イスラム法学者による解釈)は認められず、法の規定がないときにはシャリーア(イスラム法)に従って判断され、シャリーアがないときには、公序良俗に反しない限りウルフ(慣習)に従うと規定しますが、慣習がないときには自然法と正義の原則に基づき判断することが付加されました(第1条)。法規定の理解・解釈・構成はウゥール・アル・フィクフ(イスラム法学)の理論と原則に従うこと(第2条)に変更はありません。
公序に関しては、公序に関する事項を列挙する方式に変更され、シャリーアの確定的な判断、統治の仕組み、婚姻・相続等のムスリムの身分事項に加えてUAEの成文法の強行規定が含まれるとされた(第3条)一方、旧民法で例示されていた取引の自由、財産の移転、私有財産の原則等の社会生活の基礎をなす事項は除外されています。
(2)抵触法
第1章3節(第10条から第30条まで)では、旧民法(第10条から第28条)と同様に国際的な法律行為に関して適用する法律(準拠法)が規定されていています。
婚姻・相続等の身分事項の準拠法に変更があります(第12条~14条、第17条)。
契約に関しては、契約当事者の明示の合意が優先されることとされ、合意がない場合に共通の住所地の法により、共通の住所地がないときには、その他の法の適用が意図されていたことが状況により明白でない限り、主たる契約義務を履行される国の法律が準拠法とされることに変更されました(第19条)。ただし、民法の規定で準拠法とされた外国法がUAEの公序良俗に反するときは、適用されないとの規定が存続している(第29条(旧第27条))ので注意が必要です






