⑴ 2026年越境デジタル商取引政策の概要
2026年7月22日、バングラデシュ商務省(Ministry of Commerce)は、2026年越境デジタル商取引政策」(Cross-Border Digital Commerce Policy, 2026、以下「本政策案」といいます)の草案を同省ウェブサイト上で公表しました。本政策案は、デジタルプラットフォームを通じた越境での商品・サービスの輸出入を包括的に規律するとともに、決済プロセス、広告、消費者保護をはじめとする関連する事業活動についても規律するものです。本政策案の内容は、今後、意見募集・関係機関協議を経て内容が修正される可能性がある点にご留意ください。
⑵ デジタルビジネスID(DBID)登録義務
本政策案は、越境デジタル商取引活動を行う事業者に対し、デジタルビジネスID(DBID)の取得を義務付けています。特に、バングラデシュ国内において企業を設立せず、海外から現地消費者向けにオンライン小売販売を行う外国事業者についても、バングラデシュでのDBID登録が求められていることに注意が必要です(本政策案3.7項、5.3項)。
⑶ 現地でのオンライン広告出稿に関する規制強化
外国企業がバングラデシュ国内に会社を設立することなく、国内向けにオンライン広告を出稿することが禁止されます(本政策案8.3項)。GoogleやFacebook、YouTube等のプラットフォームを通じて現地消費者向けにデジタル広告を展開している場合は、現地法人の設立、または国内に拠点を持つ主体を通じた出稿体制への切り替えが必要となる可能性があります。
⑷ 輸出入時の通関書類へのプラットフォーム名明記義務
オンラインマーケットプレイスまたはデジタル商取引プラットフォームを通じて輸入・輸出される商品について、輸入申告書(Bill of Entry)、船荷証券(Bill of Lading)またはインボイスに、購入者名に加えて当該マーケットプレイス・プラットフォームの名称を記載することを義務付けられました(本政策案6.5項、9.2項)。あわせて、税関当局の自動化システム(ASYCUDA World)およびバングラデシュ・シングルウィンドウ(BSW)と、当該プラットフォームとの間でAPI連携を確立することが求められています(本政策案9.2項)。
⑸ 外貨送金・決済に関する規律(エスクロー制度・外国為替規制法との関係)
越境デジタル商取引における決済の信頼性確保のため、バングラデシュ銀行と連携した越境エスクローサービスの導入を義務付けています (本政策案6.2項)。
現地法人を通じて越境取引を行っている場合は、既存の外貨送金実務(信用状ベースの決済等)に加え、エスクロー経由での決済フローへの対応や、送金期限の遵守がより厳格に求められる可能性がある点に留意が必要です。
⑹ 返品・返金に関する消費者保護規定
代金引換方式における返品・返金について購入者・販売者双方が契約に従う義務を負う旨が規定されています(本政策案17.1項)。前払い商品について品質不適合があった場合、販売者は契約に従って返品を受け入れ、支払われた全額を条件なく返金する義務を負い(本政策案17.2項)、欠陥品・期限切れ品・偽造品を提供した場合、返金の際に顧客が支払った全額を、原則として顧客が支払いに用いたのと同一の手段(またはエスクロー制度に従った方法)で返金することが義務付けられています(本政策案17.3項)。表示された商品説明と実際の商品特性が異なる場合の返品・返金についても別途規定されています(本政策案17.4項)。
⑺ 知的財産権侵害品の取扱いに関する規定
知的財産権に関連する商品・サービスの輸出入について、バングラデシュ著作権法、商標法、知的財産権行使(輸出入)規則、特許法等が適用されます(本政策案12.1項)。あわせて、知的財産権を侵害する偽造品をデジタルプラットフォーム・SNS・オンライン上で展示・販売することを禁止されます(本政策案12.2項)。






