インドネシアのトピック、最新の法令等の紹介

(1)日・インドネシア経済連携協定(IJEPA)の改正議定書

2026年8月1日、2024年8月8日に署名された日・インドネシア経済連携協定(IJEPA)の改正議定書が発効しました。日本では2025年4月23日に国会承認が完了し、インドネシアでは2026年5月13日に大統領規則2026年第32号が制定・施行され、同改正議定書が批准されています。その後、両国は2026年6月26日、改正議定書の発効に必要な国内法上の手続が完了したことを相互に通告する外交上の公文を交換し、同議定書は同年8月1日に発効しました。

これに伴い、インドネシアではIJEPAに基づく関税率を定める財務大臣規則2026年第60号(PMK 60/2026)等も同日から施行され、新たな関税撤廃・引下げ等の適用が開始されています。改正議定書の発効は、日本の国会承認から約1年3か月後となりました。

(2) 今回の改正議定書の概要

(a) 物品・サービスの市場アクセスの改善

今回の改正議定書により、日本からインドネシアへの市場アクセスの改善として、自動車及び鉄鋼・鉄鋼製品計19品目の関税撤廃・引下げ、鉄鋼等の特定用途免税制度(※)の改善、日本産短粒種米の低関税輸入枠の設定が盛り込まれました。また、サービス分野では、自己が所有し、又は賃借する不動産(住宅用途及び複合用途の高層建築物に限る。)に関するサービス、倉庫サービス及び貨物運送取扱サービスについて、新たな約束が含まれています。(※自動車生産等の特定の用途のために輸入される製品について免税とする制度)

一方、インドネシアから日本への市場アクセスの改善として、114品目の農水産品等について関税撤廃・引下げ等が定められました。

(b) ルール面

電子商取引章を追加し、国境を越える情報移転の制限の禁止、コンピュータ関連設備の利用・設置要求の禁止、ソースコードの移転・開示要求の禁止等を定めています。また、知的財産章を拡充し、特許の外国語書面出願手続における利便性の確保、地理的表示(GI)について原産地を誤認させる表示の防止をはじめとする関連規定の追加(酒類、農産品等)、国境措置の強化等が盛り込まれています。

(c) 看護師・介護福祉士候補者の受入条件の改善

看護師・介護福祉士候補者の受入れ条件についても改善が行われました。具体的には、国家資格取得を目指す候補者の日本での滞在期間について、看護師候補者は最長3年間から5年間へ、介護福祉士候補者は最長4年間から5年間へ延長されています。これにより、日本語や専門知識を習得する期間及び国家試験を受験する機会の増加が期待されます。

(3) 関税撤廃・引下げの対象品目(一部)

品目 (対 インドネシア産品)基準税率関税撤廃等の内容
魚(きはだまぐろ等)3.5%、10.5%等即時関税撤廃、段階的関税撤廃(6年目、8年目または16年目)
魚調製品(かつお缶、まぐろ缶、かつお節、かつお・まぐろ調製品等)6.4%、7.2%等即時関税撤廃(※1)、段階的関税撤廃(6年目、8年目または16年目)
果実調製品(グレープフルーツジュース等)21.3%、25.5%段階的関税撤廃(8年目、11年目、または16年目)
調味料(マヨネーズ等)12.8%等段階的関税撤廃(8年目)
飲料(水(砂糖を加えたもの)、ノンアルコールビール(砂糖を加えたもの)等)13.4%段階的関税撤廃(11年目)
有機化学品(ソルビトール)-関税割当ての合計割当数量の修正(25,000トンから30,000トンに拡大)
品目(対 日本産品)基準税率関税撤廃等の内容
米(短粒種米)-新たな関税割当ての設定(各年8,500トン、枠内税率450ルピア/kg、枠外は実行最恵国税率)
米粉450ルピア/kg段階的関税撤廃(6年目)
熱延鋼板(※2)15%関税削減(2年目まで毎年1パーセントポイントずつ削減)
冷延鋼板(※3)15%関税削減(2年目まで毎年1パーセントポイントずつ削減)
板ばね(自動車用のもの、土工機械用のものなどを除く。)12%関税削減(5年目まで毎年1パーセントポイントずつ削減)
コイルばね(自動車用のもの、土工機械用のものを除く。)12%関税削減(5年目まで毎年1パーセントポイントずつ削減)
セダン(※4)5%段階的関税撤廃(6年目)
ステーションワゴン/スポーツカー等(※5)5%段階的関税撤廃(6年目)

※1 かつお節及びかつお・まぐろ調製品について関税上の特恵待遇を受けるためには、所定の品目証明書の添付が必要。

※2 酸洗いしたものでありコイル状のものであって、幅が600mm以上、厚さが3mm未満かつ炭素含有量が全重量の0.6%未満のもの

※3 コイル状のものであって、幅が600mm以上かつ厚さが3mm未満のもの(厚さが0.5mm未満のもののうち、厚さが0.17mm以下かつ炭素含有量が全重量の0.6%未満のもの及びブリキ用の原板を除く。) 

※4 シリンダー容積が1800㎤を超え2500㎤以下のもの。

※5 シリンダー容積が1800㎤を超え3000㎤以下のもの。ただし、四輪駆動のものを除き、シリンダー容積が1800㎤を超え、2500㎤以下のものに限る。