フィリピンのトピック、最新の法令等の紹介

フィリピン法人への無議決権株式による出資――持分法を避けたい日本企業の留意点

フィリピン企業との提携にあたり、日本企業が20〜30%程度の少数出資を行う例が増えています。本稿では、無議決権株式の発行要件と、それでも残る議決権および外資規制との関係を整理します。

1. 無議決権株式を発行できる場合(改正会社法6条)

改正会社法6条は、定款で株式の種類を定めることを認める一方、議決権を奪うことができる株式を「優先株(preferred shares)」または「償還株(redeemable shares)」として分類・発行されたものに限定しています。普通株を無議決権とすることはできず、会社には常に完全な議決権を持つ種類の株式が存在していなければなりません。

優先株は額面株式としてのみ発行でき、定款に優先株の定めがない会社では、発行前に定款変更が必要になります。配当や残余財産分配における優先権の内容は定款で任意に設計できますが、投資家保護の観点から配当優先と清算時優先を付けるのが通常です。

2. それでも残る8つの議決事項

もっとも、無議決権株式であっても、次の8つの事項については議決権が法律上保障されています。(a) 定款の変更、(b) 付属定款の制定・変更、(c) 全部または実質的に全部の会社財産の処分、(d) 社債等の負担・増加、(e) 授権資本の増減、(f) 合併・統合、(g) 他の会社・事業への会社資金の投資、(h) 解散です。これらは会社法が定めるものであり、定款や株主間契約で排除することはできません。

3. 外資規制との関係

外資規制の対象業種では、無議決権株式にすれば外資比率の制限を回避できるのではないか、というご質問もいただきます。しかし、別の号でご紹介したSECの2段階テストは、「議決権のある発行済株式」と「議決権の有無を問わない発行済株式総数」の両方について外資比率を判定するものであり、無議決権株式も後者には数えられます。無議決権株式は外資規制の制限を緩める手段にはなりません。