(1) 就業時間
労働時間は、原則として1日8時間を超えてはなりません。ただし、就業日のいずれかの日の労働時間を8時間より短い時間とし、8時間に満たない残り時間を他の就業日の労働時間に加えることについて、会社と従業員は合意することができます。ただし、この場合でも、1日の労働時間は9時間を超えてはならないとされています。また、1週間の総労働時間は48時間を超えてはならないとされています(労働者保護法第23条)。
休憩時間は、1労働日の労働時間中、労働を開始してから連続労働時間が5時間を超えない間に、1時間以上付与する必要があります。この休憩時間は1時間より短い時間に分割することが可能ですが、1労働日における休憩時間が、合計1時間を下回ってはならないとされています。また、通常の労働時間に続く時間外労働時間が2時間以上ある場合は、時間外労働の開始前に、20分以上の休憩時間を付与する必要があります。ます(同法第27条)。
(2) 時間外労働
会社が従業員に対して時間外・休日労働を行わせる場合、原則として、従業員からその都度、個別の同意を得ることが必要となります。ただし、業務の性質・形態により連続して行うことが求められ、中止した場合に損害が生じる業務、緊急の業務、または省令により定められたその他の業務については、必要な範囲内で、会社は従業員に対して、時間外・休日労働を行わせることができます(同法第24条)。
時間外・休日労働の合計時間は、週36時間を超えてはならないとされています(同法第26条)。
(3) 時間外労働手当
労働日の通常の労働時間外に、従業員に時間外労働をさせた場合、会社は従業員に対して、労働した時間数に応じて、労働日の時間当たりの賃金の1.5倍以上の時間外労働手当を支払う必要があります(同法第61条)。労働日の時間当たりの賃金とは、月額賃金を30で割り、それを通常の労働日における一日の平均労働時間数で割った額とされています(月給で賃金を受領している場合)(同法第68条)。
(4) 休日労働手当
休日に賃金を受領する権利を有する従業員に、休日労働をさせた場合、会社は従業員に対して、労働日の時間当たりの賃金の1倍以上の休日労働手当を支払う必要があります。
休日に賃金を受領する権利を有しない従業員に、休日労働をさせた場合には、労働日の時間当たりの賃金の2倍以上の休日労働手当を支払う必要があります(同法第62条)。
(5) 休日時間外労働手当
休日の労働時間外に、従業員に休日時間外労働をさせた場合、会社は従業員に対して、労働日の時間当たりの賃金の3倍以上の休日時間外労働手当を支払う必要があります(同法第63条)。