「マレーシアの就業時間及び時間外労働に関する法規制の概要」 

1.就業時間

マレーシアでは、雇用法(Employment Act 1955)により、原則として、1日の労働時間の上限を8時間まで、1週間の労働時間の上限を45時間までと定めています。また、8時間未満の労働時間の日が生じる場合には雇用契約において同じ週の他の日について8時間以上の労働時間を設定することができるとされていますが、この場合でも1日9時間、1週間45時間を超える労働時間を設定することはできません。

さらに、雇用法は、休憩時間に関し、30分以上の休憩時間を挟むことなく5時間以上の勤務をさせてはならないと規定する他、全体の拘束時間に関し、休憩時間を含めた1日の拘束時間が10時間を超えてはらないと規定しています(雇用法60A条(1))。

 2. 時間外労働

マレーシアでは1980年雇用(時間外労働の制限)規則(Employment (Limitation of Overtime Work) Regulations 1980)により、月104時間に規制されています。また、原則として、1日12時間以上の労働は禁止されています(雇用法60A条(7))。

 3. 時間外労働手当

所定労働時間を超えて労働をした場合には、時間給の1.5倍の額の時間外労働手当を支給しなければなりません(雇用法60A条(3))。時間外労働手当の計算にあたっては、拘束時間が10時間を超えた場合にはその後の拘束時間が休憩時間を含めすべて時間外労働時間と見做されてしまうことに注意が必要です(雇用法60A条(1))、2条)。なお、時間外労働手当に関する規定は、原則として月給4,000リンギット超の従業員には適用されません。

 4. フレキシブル勤務形態の導入

マレーシアでは、書面で雇用主に対して就業時間・就業日・就業場所についてフレキシブルな勤務形態の導入を求める申請することができるとされています。雇用主は、申請から60日以内に承認又は拒否する必要があります。雇用主が申請を拒否する場合には、その理由を付す必要があります(雇用法60P条、60Q条)。