1.就業時間
ミャンマーにおいては、業種ごとに労働時間について異なる規制が異なる法律において規定されています。すなわち、店舗、商業施設、公共娯楽施設における労働者に関しては店舗及び商業施設法、工場における労働者に関しては工場法、油田における労働者に関しては油田(労働及び福利厚生)法が規定しています。具体的には、店舗、商業施設又は公共娯楽施設における労働者の労働時間は、1 日 8 時間、かつ、1 週間 48 時間以内です(店舗及び商業施設法 11 条(a))。工場における労働者の労働時間は、原則として 1 週間で 44 時間以内、かつ、1 日 8 時間以内です(工場法 59 条及び 62 条)。但し、技術的理由により労働を継続しなければならない場合、週 48 時間まで認められます(工場法 59 条)。また、労働時間及び休憩時間の合計時間についても規制が存在します。工場の労働者の労働時間及び休憩時間の合計時間は、原則として 10 時間を超えることはできません(工場法 64 条)。 店舗、貿易施設、公共娯楽施設の労働者については 11 時間を超えることはできません(店舗及び 商業施設法 12 条(a))。
2. 時間外労働
店舗及び商業施設法の適用対象労働者について、時間外労働が一週間で 12 時間を超えることは認められません。但し、必要な場合、特別なケースとして、16 時間を超えない範囲で認められます。しかし、深夜 12 時を過ぎることはできません(店舗及び商業施 設法 11 条(b))。工場法においては時間外労働時間に関する規定は存在しません。
3. 時間外労働手当
使用者は、労働者を法律上規定された労働時間以上働かせた場合、時間外労働手当として、平均賃金の 2 倍以上の額を支払わなければなりません(工場法 73 条)。休日に働かせた場合も同様に平均賃金の 2 倍以上の額を支払わなければなりません(休暇及び休日法 3 条 2 項)。休日に時間外労働をさせた場合においても、割増率は変わらず、平均賃金の2 倍以上とされています。日本と異なり、深夜労働手当は存在しません。また、日本では管理監督者に対して時間外労働手当及び休日手当の支払いは不要ですが、休暇及び休日法においては適用除外事由にマネージャーは含まれていないため、休日手当はマネージャーに対しても支払う必要があると解されます。
4. フレキシブル勤務形態の有無
ミャンマーでは、日本のような裁量労働時間制や変形労働時間制は法律上規定されていません。