(1) 就業時間
連邦労働法(Ley Fedral del Trabajo)は、1日当たりの最大労働時間を日勤(6時から20時)の場合8時間、夜勤(20時から翌6時)の場合7時間、日勤から夜勤にわたる場合7.5時間(ただし、20時以降の勤務時間は3.5時間未満に限られる。)と規定しています。また、休日は、6就業日ごとに1日設ける必要があると定められていることから、週の最大勤務時間は、それぞれ48時間、42時間、45時間となります。
なお、土曜日の午後を休業にするといった目的であれば、1週間の労働時間を分配することが認められており、雇入れ時に労働者と使用者との書面による合意がある場合において、例えば、日勤の場合において、月曜日から金曜日を就業日、土曜日と日曜日を休業日とした場合に、週の労働時間45時間とした場合、各就業日の労働時間を9時間とすることができます。
休憩時間については、連邦労働法にもとづけば、連続する勤務中に少なくとも30分付与する必要があり、この休憩時間に勤務場所から離れられない環境にある場合は、休憩時間も勤務時間に含めとされています。しかし、連邦労働法が定める30分の休息は、労働者に認められる最低限の権利であり、労務提供場所に留まるか否かに関わらず、勤務時間とすべきとの最高裁判所の判断が示されており、また、休憩時間を就業時間に含めないために必要となる概念「中断のある勤務(jornada discontinua)」が認められる場合として、休憩時間が最低1時間あり労働者の仕事を中断させるものであって、これにより労働者は当該時間を使用者の指揮命令を受けることなく自由に過ごすことができ、労務の提供が完全に停止される場合と判示されています。従って、1時間未満の休憩時間とする場合は、例え労働者がその時間を自由に享受することができる場合であっても、勤務時間に含めることが推奨されます。
(2) 時間外労働
時間外労働は1日当たり最大3時間、週に3日まで、週に3回9時間までと連邦労働法に規定されています。
(3) 時間外労働手当
1日当たりの勤務時間を超えた場合の割増賃金率は100%となり、超過時間については、通常の賃金と併せて通常の2倍の賃金を支払わなければなりません。万一、週の1日の時間外勤務が3時間を超えた場合や週の時間外勤務の時間が9時間を越えた場合、その超過時間に対しては通常の3倍の賃金を支払わなければなりません。
(4) 休日労働手当
前述の通り、休日は6就業日ごとに1日設けることが義務付けられており、その休日は、原則として日曜日としなければなりません。ただし、事業の性質上必要である場合は、使用者と労働者の合意によって休日を別に定めることができるとされており、日曜日の就業については少なくとも通常の給与の25%の額の手当を支給する必要があります。
もっとも、使用者と労働者とで合意した労働者の休日に労働させる場合は、割増賃金率は200%となり、通常の賃金と併せて通常の3倍の賃金を支払わなければなりません。