バングラデシュで、労務に関する主な法令は、2006年バングラデシュ労働法、2015年バングラデシュ労働規則、2019年EPZ労働法、2022年EPZ労働規則であり、これらの法令の適用対象となる労働者(worker)は労働法に基づき、その権利が保護され、適用対象とならない労働者は、当事者間の契約にて労働条件が定められます。
1.労働法における「労働者」の定義
労働者の定義は労働法の適用性の判断において重要な基準になります。
労働法2条(65)によれば、労働者は、「雇用条件が明示または黙示されており、雇用または報酬のために熟練、非熟練、マニュアル作業、技術的、売買、事務の業務をするために直接または間接的に事業所または産業に雇用された者で見習いを含む。なお、主に管理、経営、監督の業務に雇用された者は含まない」とされています。
輸出加工区内の企業にのみ適用されるEPZ労働法も同様に定義しており、同法2条(48)では、労働者は、「工業の雇用者を除き、輸出加工区内で直接またはその他の方法で雇用されている、雇用条件が明示または黙示されており、雇用または報酬のために熟練、非熟練、マニュアル作業、技術的、事務の業務をするために事業所または工業に雇用された成人(見習いを含む)である。なお、最高経営責任者、事業の執行、管理の業務のために雇用された者、工業の監督及び管理について責任を負う者は含まない。」とされています。
労働法は、その適用対象として、工場などの産業に従事する労働者を想定しており、経営(administrative)、管理(management)、監督(supervisory)の地位にある者は適用しないと規定していますが、これらの経営、管理、監督の職位体を具体的または明確に定義していません。たとえ経営者という地位であっても、その労働者の業務、義務、その他の要素を考慮して、労働法が適用される労働者か否かが判断されます。また、労働者側が、自身を労働者であるとして労働法に規定される権利を求めて訴訟に発展した場合、労働者側の権利が認められる傾向にあります。
2.労働者に該当しない者に対する規制
労働法の適用対象となる「労働者(worker)」に該当しない者の勤務条件などは、明示的か黙示的かを問わず、雇用契約書または任命書によって決定されます。
企業は、雇用を管理する独自の就業規則(Service rule)を設けることができますが、独自の就業規則は労働法に基づいて規定されている基準よりも労働者の不利にしてはならず、工場・事業所検査局(DIFE)の承認がなければ法的効力は発生しないと解されます。