「タイの試用期間に関する各国の法制度」

(1) 概要

試用期間は期間の定めのない雇用契約とみなされます(タイ労働者保護法17条2項)。

この点、期間の定めのない雇用契約とは、雇用期間の終了時期が明確に定まっていない雇用契約をいい、解雇にあたっては、原則として、解雇予告、解雇補償金の支払い、有給休暇の買取り(未消化の有給休暇がある場合)、及び解雇が不公正でないことが求められます。

勤続期間の計算は試用期間も含めて雇用開始時点から通算され、試用期間中又は満了時に本採用をしない場合、これは解雇と同様と解され、期間の定めのない雇用契約としての通常の解雇手続きが求められることになります。

なお、不公正解雇との関係では、試用期間中の勤務成績が不十分であることを理由とする解雇について、不公正解雇にはあたらないとされた判例があります(2002年タイ最高裁判決2364号等)。

(2) 試用期間の日数

試用期間の日数については、法律上、特に定められていませんが、実務上、119日以内に設定している会社が多いとされます。

タイでは、勤続期間が120日以上の労働者を解雇する場合には、使用者が労働者に対し、解雇補償金を支払わなければならず(タイ労働者保護法118条)、試用期間従業員の解雇時に解雇補償金の支払が発生することを防ぐために、そのような設定がなされていることが多いです。