「インドの試用期間に関する各国の法制度」

(1) 試用期間に関する法規制について

インドには、連邦法及び州法併せて多くの労働関係法令が存在しますが、試用期間について規定しているものは1946年就業規則に関する産業雇用規則(以下、「本規則」)のみとなります。

本規則では、試用期間中の者(probationer)とは、常用ポストの欠員を埋めるために暫定的に雇用され、試用期間が延長されない限り、そのポストで 3カ月の勤務を完了していない人のことをいいます。そして、試用期間中の者は、契約終了について事前の通知や通知に代わる賃金を受領する権利はないと規定されています。3カ月の試用期間が経過していた場合に雇用契約終了するためには、2週間前の通知又はそれに代わる賃金の支払が必要となります。

もっとも、本規則は、100人以上のワークマンを雇用する事業場について適用されます。ワークマンとは、手作業、非熟練・熟練、技術的、運営管理的又は事務管理的作業のために雇用されている者をいいます。

したがって、100人以上のワークマンを雇用する事業場においては、本規則が適用されるため試用期間は3カ月となり、試用期間中であれば契約終了時の事前通知や通知に代わる賃金の支払は必要ありません。

(2) その他、本規則が適用されない場合の試用期間の取り扱い

本規則が適用されない場面の労使間の雇用契約においても試用期間を設定することは裁判例において認められています。そして、インドではオファーレターや雇用契約書において試用期間が設定されることが一般的といえます。試用期間についての規制はないですが、それぞれの州に適用される店舗施設法において、何カ月以上雇用した場合、契約の終了には何カ月前の事前通知が必要である旨定めているため当該店舗施設法の規定を参考にすることが一般的である。

デリー準州の店舗施設法、ハリアナ州が適用されるパンジャブ州の店舗施設法では、3カ月以上勤務している従業員に対しては、少なくとも30日前の事前通知又は通知に代わる給与が必要であるとしています。また、カルナータカ州及びタミルナドゥ州の店舗施設法では、合理的な理由がなければ6か月以上勤務した従業員を解雇することはできず、1カ月前の事前通知も必要であると規定しています。したがって、試用期間は、一般的に3~6カ月で設定されることが多いとされています。