「インドにおける賞与に関する法規制の概要と運用の実情」

(1) 賞与に関する法規制について

インドでは、賞与については賞与支給法(The Payment of Bonus Act, 1965)(以下、「本法」)に規定されています。

本法は、全ての事業所に適用されるのではなく、以下の事業所に適用されます(本法1条3項)。

  • 工場法(The Factories Act, 1948)に規定される工場
  • 営利を目的として従業員20人以上を雇用する事業所

(2) 賞与の受給資格について

1会計年度に30日以上就労した「労働者」は本法に基づき雇用主から賞与が支払われる権利を有します(本法8条)。本法上、労働者とは、熟練若しくは非熟練作業、監督作業、技術作業、又は事務作業を行う者で、月給INR21,000以下の者をいいます(本法2条13項)。

したがって、上記(1)の工場や営利を目的として20人以上の従業員を雇用する事業所において、上記に該当する労働者は賞与を受給する権利を有します。

もっとも、不正行為、事業所内での暴行行為、又は事業所の財産の窃盗等の理由で解雇された労働者は賞与の受給資格を失います(本法9条)。

(3) 賞与の額について

賞与の最低額として、1会計年度において雇用主に余剰金があるかどうかに関わらず、会計年度に労働者が得る給与の8.33%又はINR100のいずれか高い方と規定しています(本法10条)。そして、1会計年度において余剰金が労働者に支払われる最低賞与額を超える場合、雇用主は当該会計年度に関して、全ての労働者に対して、労働者が当該会計年度で得た給与の20%を上限として、当該会計年度に労働者が得た給与に比例した賞与を支払わなければなりません(本法11条)。

(4) 賞与の支払方法について

賞与は会計年度終了後8カ月以内に現金で支払われなければなりません(本法19条)。