インドでは、1872年契約法(THE INDIAN CONTRACT ACT, 1872)27条に競業避止義務に関する規定があります。
契約法27条は、「ある者が合法的な職業、取引、又はあらゆる種類の事業を行うことを拘束されるあらゆる合意は、その限りにおいて無効である。」と規定しています。同条に基づき、裁判例では、契約期間中の競業避止義務は有効であるが、契約期間終了後の競業避止義務は原則として無効であると解釈されています。したがって、雇用契約終了後に従業員に対して競合他社において働くことを禁止する旨の条項は無効であると解されます。
また契約法27条は、あらゆる種類の取引を制限する合意を無効とするものであり、その対象は雇用契約に限られません。そのため、代理店契約における競業避止義務についても、代理店との契約終了後に競合他社との間での取引を制限する旨の合意は同条に基づき無効と解されます。