「解雇に関する法規制」

新型コロナウイルスの影響で労働者をやむを得ず解雇する会社も出てきていると聞きます。しかし、日本において解雇は、使用者が自由に行えるものではなく、「社会通念上相当」と認められる客観的で合理的な理由が必要です。

そこで、今回のコラムでは日本の解雇に関する法規制を紹介します。

(1)解雇の定義

法律上の解雇の定義は「使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了」とされており、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法第16条)と規定されています。

(2) 解雇の種類

解雇には下記の3種類があります。

①普通解雇

 能力不足、勤務成績不良、業務命令・指示違反、傷病、私生活上の非行を理由とする解雇

②懲戒解雇

 使用者の懲戒権発動による解雇

③整理解雇

 経営上の必要性から行われる解雇

(3) 整理解雇

上記(2)の3種類の解雇のうち、COVID-19による経営難による人員整理等を理由とする解雇は、「整理解雇」となります。整理解雇を行う為には下記の4要件を満たすことが必要です。

①人員削減(解雇)の必要性

②解雇回避の努力

③人選の基準及び人選の合理性

④手続の合理性

この4要件に照らして、上記(1)解雇の通則(労働契約法第16条)の「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない」かどうかにより、整理解雇が有効であるか否かが判断されます。

(4) 解雇予告手当

通常、使用者が従業員を解雇しようとする場合、30日前までには、解雇の予告をしなければなりません。この予告を行わずに解雇する場合、使用者には最低30日分の平均賃金を従業員に支払う義務が生じます。

(5) 有期契約における解雇

「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむをえない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」(労働契約法第17条)と規定されています。

有期契約の契約期間途中に従業員を解雇しようとする場合、労働契約法第16条で定められた解雇の通則の規定に加え、「やむをえない事由」が必要となってくることから、解雇の有効性はより厳しく判断されることとなります。