「メキシコの賃金の支払方法に関する法規制」

⑴ 現金払いの原則

賃金の支払いは、現金が原則となり、商品やバウチャー、その他の支払いは禁止されています。また、支払方法は労働者との合意を前提に、銀行振込みやその他電子的方法による支払いが認められていますが、これに伴う手数料の費用は使用者が負担しなければなりません(連邦労働法84条・101条・108条・109条)。

⑵ 賃金の支払い期間に関する規制

賃金の支払いは、工場の工員や現場作業員といった労働者(trabajo material)の場合は1週間ごとに、その他の労働者の場合は15日ごとに行わなければなりません(連邦労働法88条)。したがって、メキシコの給料日は原則として月に2回となり、現場作業に従事する労働者を抱える企業では月に4回となります。賃金の支払いは、労働者が労働を提供する場所で、勤務時間中または勤務終了後直ちに行わなければなりません。

⑶ 賃金の控除に関する規制

賃金からの控除は以下の場合を除き、禁止されています。

・使用者が支払うべき予想賃金の残高の払い戻しをする場合。

・計算ミスが発生し、使用者が過払いをした場合。

・使用者が商品を購入した場合。

・結果として生じた残高が、手違いや、備品の置き忘れ、ミスの結果である場合。

・組合への支払い、扶養費、養育費など、裁判所の判決等により支払いが義務付けられている場合。

賃金を控除するすべての場合において、賃金の控除は書面で保証されなければなりません。

また、いかなる場合も、1カ月分以上の給与を控除することはできません(連邦労働法110条)。