「ベトナムの賃金の支払方法に関する法規制」

賃金は、労働者にとって最も基本的な給付であり、現行の労働法における重要ポイントの1つでもあります。以下に、賃金支払いに関するいくつかの重要な規定を記載します。

(1)賃金支払いの原則

現行の労働規定では、使用者は労働者に対し、給与を直接、全額かつ適時に支払うことが義務付けられています。例外的に労働者が直接給与を受け取ることができない状況においては、使用者は法的に認可された者に相当額を支払うことができます。労働者の給与の使い道に干渉したり制限を加えたりすることは禁じられています。

労働者の報酬は、契約、労働者の職務遂行能力、および遂行された職務の質によって決定されます。労働者と使用者は、現金支払いか銀行振り込みか、給与の支払い形態は時間給、出来高給(出来高払い)、固定給かを決定することができます。なお、外国為替管理規制により、ベトナム国内で支払われる給与はベトナムドン(VND)で支払わなければなりません。ただし、労働者がベトナムで合法的に雇用されている外国人の場合、彼らに支払われる給与は外貨で支払うことができます。

(2)賃金支払期間に関する規定

賃金支払期間に関しては、以下の状況に分けられます。

・時間給、日給、週給を受け取る労働者:賃金支払期間は、それぞれ労働時間、日、週の終了後ごと、または労働者と使用者の合意により合計額が15日以内に支払われます。

・月給または隔週給を受け取る労働者:賃金支払期間は、それぞれ月ごとまたは隔週ごとです。支払時期は定期的であり、労働者と使用者が合意します。

・出来高払いの給与を受け取る労働者:賃金支払期間については、製品の量と質、生産性基準、および製品単価に応じて、労働者と使用者が合意します。ただし、1ヶ月以内に仕事を完了できない場合、労働者は、その月の作業量に基づき、毎月前払金を受け取る権利があります。

・固定給を受け取る労働者:賃金支払期間については、仕事の量と質、および仕事の完了に必要な時間に応じて、労働者と使用者が合意します。ただし、1カ月以内に仕事を完了できない場合、労働者はその月の作業量に基づき、毎月前払金を受け取る権利があります。

賃金が全額または期限内に支払われない場合、労働者に事前通告なしに一方的に労働契約を解除する権利を有します。不可抗力により使用者が給与の全額を期限内に支払うことができない場合、使用者は当初の支払日から30日以内に賃金支払義務を履行する権利を有します。さらに、賃金支払いの遅延が15日を超えた場合、使用者は労働者に未払い賃金の利息を支払う必要があります。

(3)賃金控除に関する規制

使用者は、賃金の支払い前に、労働者の給与から以下の金額を源泉徴収することができます。

・個人所得税:この金額は、労働者に代わって所轄税務当局に納付されます。

・強制社会保険:管轄社会保険機関に提出される定期保険料は、法定比率に従って労働者と使用者が拠出します。これは、管轄社会保険機関に対する労働者負担割合といわれています。

・労働組合費:労働組合員である労働者に代わり、主要な労働組合または直上の労働組合に支払われます。

・使用者の財産(設備および/または資産を含む)に対する損害賠償((i)使用者の財産に損害を与えた労働者、(ii)使用者の財産を紛失した労働者、(iii)許容限度を超えて材料を消費した労働者にのみ適用される):控除額の上限は、強制社会保険および個人所得税を支払った後の労働者の純月給の30%とされています。

したがって、使用者は、賃金支払いの詳細(基本給、時間外手当など)や控除額を記載した給与明細を労働者に渡すことが法的に義務付けられています。