(1) 配転に関する規制
タイの法律上、配転に関する見解は一様ではないものの、勤務地の変更や職務の変更の有効性について、①使用者の命令が適法、正当かつ公正であると認められること、②降格ではなく、かつ、賃金、福利厚生が現在のものを下回らないことである場合には、会社は従業員に対する配転を命じることができると、判示した判決があります。
配転命令が違法であると判断されないためには、配転命令がありうることを就業規則に明記・周知しておくことや、雇用契約書にも配転命令があり得ること明記しておくこと、配転の際に労働者の個別の同意を得ておくことなどが考えられます。
(2) 出向・転籍に関する規制
民商法典577条1項は、「使用者は、労働者の同意を得て、その権利を第三者に譲渡することができる。」と規定しています。
出向や転籍命令については、配転命令と同様に、その有効性が問題とならないよう、出向や転籍命令がありうることを就業規則に明記・周知しておくことや、雇用契約書にも配転命令があり得ること明記しておくこと、配転の際に労働者の個別の同意を得ておくことなどが考えられます。