(1) 保存が義務付けられている企業文書の種類
現行企業法には、会社の種類に応じて、以下の文書を保存することが規定されています。
- 会社の定款、内部管理規定、株主・出資者名簿。
- 知的財産権の証明書、製品・商品・サービスの品質登録証明書、その他の許認可証および証明書。
- 会社の資産所有を証明する文書。
- 社員総会、株主総会、取締役会の会合の議決権、議決権調査簿、議事録。会社の決定または決議書類。
- 有価証券の募集または上場のための目論見書。
- 監査役会の報告書、検査当局および監査組織の判断。
- 会計帳簿、会計記録、年次財務諸表。
また、現行の会計規則では、前項vii)で示された文書の種類についても詳細に記載されており(政令No. 174/2016/ND-CP第8条参照)、これによると、上記vii)の文書に加え、会社は、予算明細書、および契約、利益の資本化に関する決定、資金や資本書類の受領と使用など経理業務に関連するその他の文書も保存しなければならないとされています。
また、労働災害が発生した場合、会社は、政令No. 39/2016/ND-CPに基づき、労働災害調査記録、検死または傷害検査記録などの労働災害に関する文書を保存しなければなりません。
さらに、会社が行う事業内容や運営活動の種類によっては、特別の文書保存に関する法的義務が生じる場合があります。例えば、信用機関に分類される会社は、信用機関法(法律No. 32/2024/QH15)に規定される信用記録に関する文書も保管しなければなりません。また別の例として、取引商品の原産地証明書(C/O)を申請する企業は、政令No. 31/2018/ND-CPに基づき、申請書類およびその目的に関連する適切な補助文書も保管する必要があります。
(2) 文書保存に関するその他の重要事項
文書を保管する場所については、会社が自由に決定することができます。現行の法令では、電子形式での文書の保管については、e-VATインボイスを除き、特に規定はありません。したがって、e-VATインボイス以外の文書については、会社は、電子文書として保存するかどうかを選択することが可能であると解されています。
文書の保存期間には、永久保存と一定期間保存の2種類があります。一定期間保存の文書について、保存期間は、法令により年単位で決定されますが、対応する業務が完了してから70年を上回ることはありません。各種文書に適用される保存期間の詳細は、通達10/2022/TT-BNVに添付された別表や専門規則に規定されています。