「ミャンマーの裁判所の種類及び各裁判所が取り扱う紛争の概要」

⑴ 裁判所の種類

2008年憲法下では、連邦の裁判所は、①連邦最 高裁判所(Supreme Court of the Union)、管区高等裁判所(High Court of the Region)、 州高等裁判所(High Court of the State)、自己管理管区裁判所(Courts of the Self-Administered Division)、自己管理区域裁判所(Courts of the Self-Administered Zone)、 県裁判所(District Courts)、郡裁判所(Township Courts)及び法律によって設置されるその他の裁判所、②軍法会議、③連邦憲法裁判所とされています(憲法293条)。法律によって設置されるその他の裁判所は、少年裁判所、都市犯罪を審理する裁判所、交通犯罪を審理する裁判所等が存在します。

(2) 各裁判所が取り扱う対象

郡裁判所は、1,000万チャットより小さい訴額の事件を取扱います。

自己管理管区裁判所、自己管理区域裁判所、及び県裁判所は、1,000万チャット以上5億チャット未満の訴額の事件を取扱います。

管区高等裁判所及び州高等裁判所は、5億チャット以上の訴額の事件を取扱います。

連邦最高裁判所は、連邦が締結した二国間条約に起因する事案等、一定の事項に ついての第一審管轄権を有するほか、連邦の最上位の裁判所として、上告裁判所となります(憲法295条)。

憲法裁判所の役割は、憲法規定の解釈、法律の憲法に適合審査等です。

軍法会議は、憲法及びその他の法律によって設置され、国軍の軍人に対する裁判を行います。