「フィリピンの裁判所の種類及び各裁判所が取り扱う紛争の概要」

(1) 基本

フィリピンの裁判所の基本構造はおおまかに以下のとおりです。基本的にはフィリピンも日本と同じように三審制を採用しています。

簡易裁判所(First Level Courts):略式手続や少額訴訟を扱う裁判所。
地方裁判所(Regional Trial Courts):基本的に第一審として事実審を行う。また、第一審裁判所の判決に対する上訴裁判所としても機能する。
高等裁判所(Court of Tax Appeals):地裁等からの上訴を扱う。
最高裁判所(Court of Appeals):高裁からの上訴を扱う、最上位の裁判所
(2) その他の裁判所

フィリピンには他にも以下のような裁判所があります。フィリピンでビジネスを行う企業にとっては、労働問題を扱う中央労使関係委員会(The National Labor Relations Commission)が最も重要であると思われます。

中央労使関係委員会(The National Labor Relations Commission):労働問題に関する紛争を扱う。厳密には裁判所ではなく労働雇用省 (DOLE)の一部門であるが、裁判所と同様の機能を果たしている。
税務裁判所: 税務関連の決定に関する控訴を扱う控訴裁判所。
サンディガンバヤン(Sandiganbayan): 公務員や職員による汚職や腐敗事件等を扱う特別裁判所。
シャリーア(Shari’ah)裁判所:ムスリム身分法(the Code of Muslim Personal Laws)が適用される事案で、一方または両方の当事者がイスラム教徒である場合に管轄権を持つ(非イスラム教徒が当事者になる場合、その当事者はシャリーア裁判所で裁判することを承諾する必要がある。)。
簡易裁判所に相当するシャリーア巡回裁判所(Shari’ah Circuit Courts)、地方裁判所に相当するシャリーア区裁判所(Shari’ah District Courts)、高等裁判所に相当するシャリーア高等裁判所(Shari’ah High Court)がある。