「フィリピンの新株発行手続きの概要」

(1) 新株発行に関わる主な規制

フィリピンでは、新株発行は主に会社法で規制されています。

新株発行をするには、①取締役会の過半数、および②総株式(株主数ではない)の3分の2以上の賛成が必要です。なお、通常は議決権のない株式を保有する株主でも、この決議では決議に参加することができます。

また、資本金の変更には証券取引委員会(SEC)の事前承認が必要であり、場合によってはフィリピン競争委員会(Philippine Competition Commission)の承認も必要となります。さらに、株式発行に伴い定款の変更も必要となるため、定款変更の手続も行う必要があります。

(2) 新株発行に関わる主な規制

上記のとおり、新株発行にはSECの承認と定款変更の手続が必要となります。これらの手続はオンラインで行うことができます。この手続は、必要書類の作成等の作業を踏まえると、数か月かかると考えられます。

おおまかなステップは以下のとおりです。

① 申請書のオンライン提出

② SECによる事前承認(場合によっては補正する必要があります)

③ 申請料の支払い

④ 必要書類の原本の提出

⑤ 再審査

⑥ 承認に関する証明書の発行

(3) 必要書類

必要書類は以下のとおりです。

ⅰ) 株式発行に関する証明書(取締役の過半数が署名し、株主総会の議長および秘書役が署名した書類)

ⅱ) 財務役の宣誓書

ⅲ) 金額の支払いを証明するもの。

ⅳ) 株主名簿

ⅴ) 改訂した定款

ⅵ) 会社内紛争が未決でないことを証明書(秘書役が作成する)

ⅶ) 株主の先買権放棄に関する証明書(秘書役が作成する)

ⅷ) 取締役証明書(取締役の過半数および会社秘書が署名する)

ⅸ) SECによる監査要件を遵守するための宣誓書。

ⅹ) その他必要となる書類