(1) 海外からの借り入れに関する規制
インドネシアでは海外からの借り入れ(オフショアローン)について、対象を➀銀行以外の法人と2.銀行に区分し、それぞれ規制されています。
(2) 銀行以外の法人による海外からの借り入れ
銀行以外の法人による海外からの借り入れについては、オフショアローンに関するインドネシア中央銀行令2014年第16号(以下、「インドネシア銀行令No.16/21/PBI/2014号」といいます。)において規制されています。
インドネシアにおいて海外からの借り入れを行う際には、➀四半期末から3か月以内および6カ月以内に期限が到来する外貨建ての負債に対して、それぞれ25%以上の外貨建て資産を保有していること(インドネシア銀行令No.16/21/PBI/2014号第3条)、2.流動性比率に関して、四半期末から3か月以内に期限が到来する外貨建ての負債に対して、70%以上の外貨建て資産を保有すること(インドネシア銀行令No.16/21/PBI/2014号第4条)、さらに、3.海外もしくは国内における格付け機関(Lembaga Pemeringkat)によって認定された、最低「BB」に相当する信用格付け(Peringkat Utang)を有していること(インドネシア銀行令No.16/21/PBI/2014号第5条)が義務付けられています。3.の信用格付けについては、債務残高の総額が増加しない、またはその増加が一定の限度内であるリファイナンスの場合や一定の要件を満たすインフラプロジェクトの資金調達の場合には、適用除外されます。さらに、(a) 親会社から外貨建て債務を借り入れる場合、(b) 親会社が外貨建て債務を保証している場合、(c) 商業活動開始後3年以内の会社の場合には親会社の信用格付けを利用することができます(インドネシア銀行令No.16/21/PBI/2014号第7条)。また、上記3つの基準を満たしていることに関して、四半期ごとに、インドネシア中央銀行に報告する義務があり(インドネシア銀行令No.16/21/PBI/2014号第8、9条)、遵守状況について、インドネシア中央銀行は監視および調査を実施する権限を有しています(インドネシア銀行令No.16/21/PBI/2014号第10条)。
(3) 銀行による海外からの借り入れ
銀行による海外からの借り入れにおいては、上記(2)において記述した3つの規制が適用されることに加えて、1日あたりの短期負債の残高を資本の最大30%に制限する義務があり、長期負債の借り入れの際には、事前に、満期や借り入れ金額などの債務の条件や計画について、インドネシア中央銀行から承認を得る必要があります。また、長期負債の借り入れ取引後は、完了日から7営業日以内に取引内容をインドネシア中央銀行に、報告しなければなりません。(銀行によるオフショアローンに関するインドネシア中央銀行令2019年第21号第4、5、9、14条)。