「インドネシアにおける内部通報者保護制度の概要」 

(1) 内部通報者保護の概要

 インドネシアでは、内部通報者保護に関して、民間部門においては、法的枠組みは存在しておりませんが、公的部門において、関係する法制度が存在します。

内部通報者に関する定義においては、最高裁判所通達2011年第4号では、通報者(whistleblower)とは、組織または個人によって行われた特定の犯罪行為に関する活動について、自発的に情報を提供する個人を指すとされています。

(2) 内部通報者保護

 証人および被害者の保護に関する法律2014年第31号(以下、「証人および被害者の保護に関する法律」といいます。)第5条の下、通報者は以下の権利が保証されています。

・証言を行う、または行ったことに関連する脅迫に対して、個人、家族、および財産の安全を確保するための保護を受ける権利

・保護および安全支援の形式の選択、決定する権利

・いかなる圧力も受けずに情報を提供する権利

・通訳を得る権利

・誤解を招くような質問を受けない権利

・裁判手続きの進捗について知らされる権利

・裁判の判決について知らされる権利

・被告人の釈放について知らされる権利

・身元を秘密にする権利

・新しい身元を取得する権利

・一時的な移転を受ける権利

・新たな居住地への移転を受ける権利

・必要に応じた交通費の補償を受ける権利

・法律相談を受ける権利

・保護が終了するまでの間、一時的な生活費を受ける権利

 また、通報者を保護する権限を持つ機関としてLPSK(Lembaga Perlindungan Saksi dan Korban)が設置されており、LPSKは、a. )法律および規制に従い、保護対象者の身元を変更する、b.) 安全な避難施設を管理する、c.) 保護対象者をより安全な場所へ移動または再配置する、d.) 警備および護衛サービスを提供する、e.)裁判手続きにおいて証人及び/又は被害者を支援する権限を有しています(証人および被害者に関する法律第11条)。