「フィリピンにおける意匠制度の概要」

(1) フィリピンで保護される意匠

フィリピンにおいて意匠権の対象となるのは、代工業デザイン(Industrial Designs)です。工業デザインとは、線や色彩の構成、あるいは立体的な形状を指します。

工業デザインが意匠権として保護されるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 特別な外観(special appearance)を持ち、模様としての機能を果たすこと
  • 新規性または独創性(new or original)があること
  • 技術的結果を得るために本質的(essentially)に技術的・機能的な考慮によってデザインされたものではないこと
  • 公序良俗に反したデザインではないこと

(2) 意匠権を保護するための手続

意匠権を保護するには、フィリピン知的財産庁(Intellectual Property Office of the Philippines)に対して工業デザインの登録申請を行う必要があります。登録されると、第三者による無断の製造や販売等を禁止する権利が付与されます。

(3) 保護期間

工業デザインの保護期間は以下のとおりです。

初回登録:5年間

更新:2回まで可能(1回につき5年間)。更新には所定の更新料の支払いが必要。

最大保護期間:合計15年間

⑷ 意匠権侵害に対する対応

登録された意匠が侵害された場合、権利者は以下のような対応をとることができます。

  • 損害賠償請求
  • 仮処分や差止命令の申立て
  • 刑事罰の追及(繰り返し侵害された場合)