アラブ首長国連邦(UAE)では、商業会社に関する連邦令2021年第32号(以下「会社法」といいます。)が各種商業会社について規定します。ただし、フリーゾーンで設立された会社には会社法は適用されず(第5条第1項)、各フリーゾーンで制定された規定によります。
(1) 必要的記載事項
基本定款(Memorandum of Association)の必要的記載事項は会社の形態により異なり、合同責任会社(Joint Liability Company)では、(a)各パートナーの氏名、国籍、生年月日及び居住地、(b)会社の名称、所在地、商号及び目的、(c)本店及び支店、(d)資本及び各パートナーの持分とその価額、その評価方法と日付、(e)設立日及び廃業日、(f)経営方法及び署名権限者の氏名とその権限、(g)会計年度の始期と終期、(h)損益の配分比率、(i)所有権の譲渡条件、とされています(第32条1項)。有限責任パートナーシップ会社(Limited Partnership Company)については、有限責任を負うパートナーを区別する他は、合同責任会社に準じ(第65条1項)、有限責任会社(Limited Liability Company)については、会社の業務に関して生じる会社とマネージャーとの間またはパートナー間の紛争の解決方法も定めなければなりません(第73条2項)。公開株式会社(Public Joint Stock Company)については、(a)会社の名称と本店、(b)会社の目的、(c)各発起人の氏名、国籍、生年月日及び居住地、(d)資本金額、株式数、1株当たりの名目額、各株式により支払われた金額、(e) 設立手続における発起人の履行事項、設立時に要する経費等の見積及び会社によるその支払見積、(g)現物支給の内容とその提供者の氏名、当初の評価額、それに付随する担保等とされ(第110条1項)、非公開株式会社(Private Joint Stock Company)については、公開株式会社に準じます(第267条)。
なお、基本定款は、アラビア語で起草され、管轄官庁による証明を受けて登記されなければ有効とはならず、外国語で起草された場合でもアラビア語が優先されます(第14条1項)。
(2) 変更
会社の名称、住所、資本金、株主または組織等の特定事項について基本定款に変更を行ったときには、15営業日以内に管轄官庁に通知して、登記する必要があります(第15条3項)。
基本定款を変更するには、有限パートナーシップ会社では、全ての合同責任及び有限責任パートナーの同意(第66条)、有限責任会社では、総会において4分の3以上の持分を有するパートナーの賛成(第101条1項)、公開株式会社では、特別決議(4分の3以上の株式を保有する株主が出席した株主総会での過半数の賛成)を経た上で、証券商品委員会からの承認を受ける必要があります(第139条)