「ベトナムにおける取締役の交代に関する法制度と手続の概要」

(1) 任期および要件

ベトナム法によれば、会社の社長、総社長または取締役は経営者(ビジネスマネージャー)とみなされます。社長は、会社の日常的な業務を管理し、その職務遂行について会長、取締役または取締役会に対して責任を負います。取締役会は会社の経営機関であり、株主総会の権限に属する事項を除き、会社を代表して会社の権利義務を決定・行使する完全な権限を有します。

各役職の任期は、以下のとおりです。

  • 二人以上社員有限責任会社の社長および総社長:任期の定めなし
  • 法人が所有する一人社員有限責任会社の社長および総社長:最長5年(2020年企業法第82.1条)
  • 個人が所有する一人社員有限責任会社の社長および総社長:任期の定めなし
  • 株式会社の社長および総社長:最長5年とし、再任回数の制限はありません。(2020年企業法第162.2条)
  • 株式会社の取締役:最長5年とし、再任回数の制限はありません。ただし、独立取締役として選任される個人は、連続して最大2期までです。(2020年企業法第154.2条)

社長または取締役に就任するための要件は以下の通りです。

  • 以下のいずれにも該当しないこと:国家公務員および公的職員、ベトナム人民軍機関および部隊に所属する士官・下士官・職業軍人・軍属および公的職員、警察機関および部隊に所属する士官、下士官および警察職員、国有企業の経営者および管理者、未成年者、法的能力が制限されている者、法的能力喪失者、自己の行為を制御するのが困難な者、刑事訴追を受けている者、拘留中の者、懲役刑の執行中の者、更生施設または矯正施設において処分を受けている者、裁判所によって一定の職務に就くことまたは一定の業務を行うことが禁止されている者。
  • 経営管理に関する専門的資格および経験を有し、かつ会社定款で定められたその他の条件を満たしていること。

また、取締役会の独立取締役には以下の基準および条件を満たすことが求められます。(2020年企業法第155.2条)

  • 当該会社、親会社または子会社に勤務しておらず、かつ過去3年間以上にわたり当該会社、親会社または子会社に勤務していなかったこと。
  • 当該会社から給与を受け取っていないこと。ただし、取締役に対して規定に基づき支給される手当は除く。
  • 配偶者、実父母、養父母、実子、養子および兄弟姉妹が当該会社の主要株主、当該会社またはその子会社の経営幹部でないこと。
  • 当該会社の議決権付き株式を直接または間接的に1%以上保有していないこと。
  • 過去5年間以上にわたり当該会社の取締役または監査役を務めていなかったこと。ただし、2期連続で任命された場合は除きます。

(2) 交代手続

会社の社長または取締役を変更する際には、以下の2つのケースを区別する必要があります。

(a) 社長または取締役が会社の法定代表者を兼ねている場合

社長を交代することは、法定代表者の変更を意味します。したがって、法定代表者の変更は、以下の法的手続とプロセスを遵守する必要があります。

  • 管轄当局:省または市の企業登録局
  • 手続:企業登録証明書に記載された内容の変更登録
  • 期限:法定代表者(会社の社長)の変更日から10日以内
  • 必要書類:法定代表者の変更通知書、所有者/社員総会/取締役会の決定書、有効な国民身分証明書または外国パスポートの認証済写し
  • 処理期間:有効な書類を受領した日から3営業日以内。

税務当局は公開された企業情報に基づいて自動的に情報を更新するため、会社が税務当局に別途通知をおこなう必要はありません。

(b) 会社の社長が法定代表者を兼ねていない場合

社長を交代する際は、企業登録証明書の変更は不要です。この場合は、社長交代に関する所有者の決定書/社員総会の決定書/取締役会の決定書のみが必要となります。取締役について、必要と認められる場合には、株主総会が当該取締役の交代、解任または罷免を決議することになります。取締役の変更に関する公告の要否は、会社の業種登録の内容、公開会社としての規模、ならびに実質的支配権の所在に応じて判断されます。