⑴ 概要
タイの社会保障制度は、社会保険法に基づき、社会保険への加入と保険料納付が義務付けられています。保険料は月給の5%を、労働者と使用者がそれぞれ拠出します(合計10%)。算定対象となる月給の上限は15,000バーツであるため、保険料の上限は労使それぞれ750バーツ(合計1,500バーツ)となります。
この制度では、疾病治療、心身障害、死亡、出産、児童手当、老齢年金、失業給付などがカバーされています。また、過去15か月のうち3か月以上保険料を納付していれば、全国の提携病院の中から1か所を指定し、登録病院で診療・治療等の医療サービスを無料で受けることが可能です。
⑵ 外国人(駐在員)の加入義務の有無
駐在員についても、タイ法人と雇用契約を結び、労働者としてタイ法人から給与を受け取る場合は、社会保険への加入が義務付けられています。多くの企業では、この形式を採用して駐在員を社会保険に加入させているものと思われます。
一方、原則として取締役は社会保険に加入できません。そのため、日本本社雇用のままタイに赴任し、タイ法人の取締役に就任した場合(従業員としての給与を受け取っていない場合)には、社会保険への加入対象外となります。
⑶ 社会保障協定の有無
日本とタイとの間には社会保障協定は存在しておらず、日本人駐在員についていわゆる二重加入の問題が生じ得ます。