⑴ 概要
製造物責任は、1999年消費者保護法(Consumer Protection Act 1999、以下「CPA」といいます。)によって規律されており、同法の第X部(第66条から第72条)がこれを定めています。この部分において、欠陥製品に対する無過失責任(strict liability)制度が導入されています。その中心的な原則は、CPA第68条⑴において「製品の欠陥により損害が全部または一部生じた場合には、責任が課される」と規定されている点にあります。すなわち、請求者が立証すべき事項は、以下の3点のみで、加害者の過失を立証する必要はありません。
- 製品に欠陥があること
- 損害が生じたこと
- 欠陥と損害との間に因果関係があること
なお、ここにいう「損害」とは、CPA第66条⑴において「死亡または人身傷害、または土地を含む財産の喪失または損害」と定義されています。さらに、CPAに基づく責任は、通知や契約によって免除または制限することはできません(CPA第71条)。
⑵ 責任の主体
CPAの下では、次の者が損害に対して責任を負う可能性があります(CPA第68条⑴)。
- 製品の製造業者
- 自己の氏名または商標その他の標章を製品に付することにより、当該製品の製造業業者であることを表示した者
- 業として製品を流通させるために当該製品を輸入した者
この包括的な規定により、いずれの流通段階にある者も責任を免れることができない仕組みとなっています。






