(1) 概要
取締役は、単なる経営の意思決定者ではなく、会社法上、会社および株主に対して一定の行為基準を負う立場にあります。とりわけ重要なのが、会社の利益を最優先に考える信認義務(proper purpose and in good faith in the best interest of the Company)と、職務遂行にあたり合理的な注意・技量・勤勉さを尽くす義務(duty of reasonable care, skill, and diligence)です。これらは取締役の判断や行動の適法性を判断する際の中核となります。
(2) 信認義務
取締役が常に会社法に従い、適切な目的のために、かつ会社の最善の利益のため誠実に行動しなければならないという義務です。会社の利益を最優先に考えていなかった場合、それだけで義務違反と評価される可能性があります。裁判所は、権限行使の性質や取締役の意図、複数の目的がある場合の支配的目的などを踏まえ、当該行為が会社の利益に資するものであったかを判断すると考えられています
(3) 合理的な注意・技量・勤勉さをもって職務を行う義務
さらに取締役には、合理的な注意・技量・勤勉さをもって職務を行う義務があります。具体的には、会社事業の基本的理解や、継続的な情報収集、業務や財務状況の監督が求められます。特に専門性を期待されて就任した取締役については、その分野に応じた高度な技量が要求されます。取締役会での審議に参加するだけでなく、日常的な経営の管理・監督に積極的に関与する姿勢が重要です。
(4) 責任追及の方法
上記義務等に取締役が違反した場合には、会社が当該取締役に対して損害賠償請求を行うことができます。加えて、株主その他の会社法によって原告適格を与えられた当事者は、裁判所の許可を得ることにより、会社を代表して訴えを提起(Derivative Action)することができます。






