(1) 概要
アラブ首長国連邦(UAE)において設立される会社の形態は様々で、フリーゾーンで設立される会社については連邦法ではなく、各フリーゾーンで制定された規則が適用されます。本土において設立された会社の取締役(director, manager等)の責任については、会社法(2021年連邦令第32号)の他、民法(2015年連邦法第5号)、破産法(2023年連邦令第51号)等に規定されていて、刑罰も定められています。以下では、有限責任会社(Limited Liability Company)の取締役(manager)の責任の概要を述べます。
(2) 取締役の責任
執行取締役(managing director)は、会社の目的に沿って、会社から与えられた権限内で、相当な注意をもって行動する責任を有しています(会社法第22条)。取締役(manager)は一般的にその権限外の行為により会社に生じさせた損害につき責任を有する(民法第665条3項)他、有限責任会社の取締役は、会社、パートナー及び第三者に対して、その詐欺的行為及び権限濫用または法令・定款・委任契約違反若しくは重過失により生じた損失・経費につき責任を有します(会社法第84条1項)。また、会社の総会決議による承認のない利益相反行為については、解職及び賠償を求められます(会社法第86条)。
破産宣告をされた会社の取締役は、管財人の請求に基づき、破産開始遅延を意図した廉価販売、不当な資産処分、破産債権者を害する意図を持った偏頗弁済につき、その責めを負う過失に比例した会社債務の支払を命じられる場合があり、会社資産が破産債権の20%以下で取締役が財務悪化に責任を有すると証明された場合も同様です(破産法第246条1項)。
更に、法令・定款に反した利益配当、会計書類への虚偽記載、会社の機密の漏洩、故意による事業活動への損害を生じさせた取締役に対して、拘禁または罰金若しくはその併科が科せられます(会社法第348条、349条、354条)。破産に関連した会社書類の作成懈怠・虚偽記載・破毀、資産の隠匿・廉価処分、偏頗弁済、詐害行為、管財人への説明義務違反等をした場合、取締役が潜在的な損害を減少させるためにあらゆる予防手段をとったことを証明できないときには、5年以下の拘禁または100万UAEディルハム以下の罰金若しくはその併科とされます(破産法第269条)。
(3) 免責
会社の役員(officer)の個人的責任を免除する会社の定款の規定は無効とされ(会社法第24条)、上記の有限会社の取締役の責任に関する規定に反する定款又は委任契約の規定も同様に無効とされます(会社法第84条1項)。






